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キリングループロジ、年間労働時間を24時間短縮へ

2021年12月20日 (月)

環境・CSRキリングループロジスティクス(東京都中野区)は20日、2022年の年間所定労働時間について、従来の1920時間から1896時間に短縮すると発表した。キリングループロジスティクスが年間所定労働時間の改定に踏み切るのは初めて。

従業員のワークライフバランスの充実を図ることで、就労環境のさらなる改善を図る狙い。キリングループロジスティクスは16年に従業員の働き方改革に着手。労働組合とも相互に意見交換や検討を重ね、より効率的な働き方の実現や生産性の向上を目指して積極的に制度の導入や改定を実施してきた。

(イメージ)

今回、各事業所での業務改善や多能工化などによる総労働時間の削減に取り組んだ結果、年間所定労働時間を24時間削減できる見通しが立ったことから、年間所定労働時間の改定を決めた。

今後もポストコロナを見据え、生産性向上と従業員のワークライフバランスの充実を目指し、積極的に働き方改革に つながる制度を導入・改定していく。

キリングループホールディングスは今回の年間所定労働時間の削減を契機として、キリングループで培った「キリン品質」をベースに、「安全」「安心」「信頼」と「質の高いサービス」を提供するとともに、国土交通省・経済産業省・農林水産省の「ホワイト物流」推進運動に基づき、持続可能な物流を実現していく。

物流の将来の「あるべき姿」を明確化したキリングループロジスティクス

物流業界にも「適正な就労環境に基づく輸送サービス」による荷物しか受け取らない、なんて時代がやってくるのだろうか。物流企業が直面する社会課題の一つである就労環境の改善に、本格的にメスを入れる動きが広がってきていると実感する。

キリングループロジスティクスが2022年より実施する年間所定労働時間の削減は、年間で24時間。月2時間の短縮だ。ささやかな一歩だと思う向きもあるかもしれないが、毎月の就労時間を継続して2時間削減するのは意外に高いハードルだ。毎月の残業時間の締め日が近づくと、分単位での就労時間の調整に躍起になる事業所も少なくないだろう。どこの職場も人手は不足し、残業時間を減らす努力を続けているのだ。

こうした環境下でキリングループホールディングスは、業務改善だけでなく多能工化による労働時間の削減に乗り出すというから、その本気度は別格だ。物流業務を「経営戦略そのもの」と位置付ける風潮が産業界で着実に広がりを見せるなかで、その現場で展開する作業はあくまでも適正な労働条件でなされる必要がある。

物流サービスへの期待は、今後の「新しい生活様式」の時代を迎えてさらに高まっていくだろう。それを担うのは、残業ではなく効率化によるものでなければならない。キリングループロジスティクスは、業界全体におけるサービス提供の「あるべき姿」を方向づける先進事例を明確に示した形だ。(編集部・清水直樹)