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コニカミノルタとNEC、AGV自動制御システム開発

2022年1月18日 (火)

サービス・商品コニカミノルタと日本電気(NEC)は17日、ローカル5G(第5世代移動通信システム)を用いた「未来ファクトリー」構想を具現化する共創の取り組みとして、AGV(無軌道型無人搬送車)の高効率自動制御システムを共同開発したと発表した。コニカミノルタの研究開発拠点「Innovation Garden OSAKA Center」(イノベーションガーデン大阪センター、IGOC、大阪府高槻市)で同日より展示している。

▲未来ファクトリー構想のイメージ(出所:NEC)

両社は、大容量で低遅延の通信が可能なローカル5G環境を整えたIGOCで、2020年11月より5Gを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)化推進のための共同開発を進めている。

このたび、両社は共同で、コニカミノルタの画像AI(人工知能)とNECの自律移動ロボット管制制御ソフトウェア「NECマルチロボットコントローラ(MRC)」を活用し、離れた場所から障害物を検知して迂回距離を短縮できるAGVの高効率自動制御システムを開発した。

▲AGVに搭載したカメラが障害物を検知(出所:NEC)

コニカミノルタのAI処理の技術群「FORXAI Imaging(フォーサイ・イメージング) AI」の一つである物体検出アルゴリズムを用いて、AGVに搭載したカメラの画像から、数メートル離れた場所にある障害物を検知。レーザーレーダーを用いた一般的な制御システムと比べて、AGVの効率的な迂回制御が可能になる。AGVに搭載したカメラで進行方向の視野を確保するため、固定して設置したカメラを使う場合に課題となる死角をなくし、より安全な走行を実現できる。

両社は、ローカル5G環境下で多数のAGVをMRCにより集中制御することで、「未来ファクトリー」で想定される数百台のAGVが同時に稼働する状況においても、大容量・低遅延通信による安全な自動運行制御を目指す。

「未来ファクトリー」構想は、コニカミノルタが考える30年の生産の姿を描いている。工程ごとに共通の産業用ロボットを用いて多品種生産ができ、工程間のモノの移動にも自動化が進んでいる工場をイメージ。「人と機械が共存する安全・安心ファクトリー」と「多品種・小ロット生産を実現する自律型デジタルジョブショップ」を目指す。

NECは、1月20日に開催するオンラインセミナー「第二回 NEC Smart Connectivity Day」にて、今回の取り組みに関する講演を実施する予定だ。

物流ロボットの技術はことしも急速に進む、それを予感させた今回の「コニカミノルタとNEC」の開発

物流向けロボットにも、ついに5G(第5世代移動通信システム)を搭載する時代が本格的に到来するのか。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化の動きは、ことしも猛烈なスピードで進行しそうだ。

5Gを導入することで、ロボットはより的確な動きを現場で実現できるようになる。物流ロボット開発における課題の一つが、最短距離または最適なルートを移動するための技術開発だ。最短距離が最適とも限らないだけでなく、そもそも刻々と変わる現場で最適ルートは常に変わる。それに対応できるロボットは、もはやロボット開発技術の限界かとも思えるが、意外にあっけなく突破してしまうのかもしれない。

それほどまでに、先進技術を競う企業間の技術開発競争は、し烈を極めている。それに信じ難いほど速い。ひと世代前に、コニカミノルタが物流ロボットを開発するなんて、誰が想像しただろうか。もはや企業の「主力事業」などという概念は意味を持たない。そんな時代が着々と押し寄せている。それを実感させる、コニカミノルタとNECの開発案件ニュースだ。(編集部・清水直樹)