ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

三菱重工、物流業務の「知能化・自動化PJ」に着手

2022年1月21日 (金)

荷主三菱重工業は20日、三菱重工グループの三菱ロジスネクスト(京都府長岡京市)と共同で、三菱重工業が研究開発を進める「ΣSynX」(シグマシンクス)のコア技術を適用して物流を知能化・自動化するプロジェクト(PJ)に着手したと発表した。

両社は、倉庫内でのピッキング作業や入出庫・入出荷作業を自動化するソリューションを順次開発し、2020年にオープンした三菱重工運営の「Yokohama Hardtech Hub」(横浜ハードテックハブ、YHH)で実証試験を進める。現在、その第1弾として飲料ピッキングの自動化ソリューションを開発中で、2022年度にYHHでの実証を開始する。


▲(左から)実証現場のYHH、飲料ピッキングソリューション(出所:三菱重工業)

現在開発中のピッキングソリューションは、飲料倉庫や冷凍・冷蔵倉庫を想定しAGF(無人フォークリフト)やAGV(無人搬送車)、パレタイザーを連携させることによって、多数の作業者が従事するピッキング作業を自動化するソリューションだ。複数のAGFやAGVを効率的に差配する「群制御」などの行動計画技術をはじめ、ピッキング計画を再構築することによりスループットを向上する最適化技術などの∑SynXコア技術によって物流の知能化も実現。社会問題となりつつある物流オペレーター不足の解決につなげる。

ソリューションは、現在主流になっているマルチテナント倉庫への導入を想定し、床面工事などの大規模工事を不要とした三菱ロジスネクストのレーザーAGFなどの機器・システムで構成。メーカー・3PLにフレキシブルな物流ソリューションを提供していく。

YHHでの実証試験は、複数のAGFとAGVが連携して在庫棚から飲料パレットをパレタイザーに配送し、パレタイザーがピッキングリストに従って目的の飲料を積み付けていく一連のソリューションを実施。YHHには実証エリアのほかに先行開発エリアも設置し、兵庫県高砂市の総合研究所内でΣSynXを適用した新AGFコンセプト機「SynX-Vehicle」(シンクスビークル)を開発する物流実験センターとも連携することで、群制御や人間との協調、遠隔監視などといったΣSynXの技術開発をさらに推進する。

▲新AGFコンセプト機「Synx-Vehicle」(出所:三菱重工業)

開発された∑SynXコア技術は今後、シンクスビークルでの検証を経て、三菱ロジスネクストのレーザーAGFをはじめとする三菱重工グループ製品全体に順次適用していく予定だ。両社は、∑SynXと社内外の製品・技術を組み合わせた入出庫ソリューション、トラック入出荷ソリューションなどの開発を、物流業界の課題解決に向けた取り組みを強化していく契機とする。