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プロロジス、都心近くで賃貸用物流施設を今夏稼働

2022年2月1日 (火)

拠点・施設物流不動産開発の米プロロジスは1日、都市型賃貸用物流施設「プロロジスアーバン東京押上1」(東京都墨田区)の提供を開始すると発表した。

プロロジスアーバン東京押上1は、東京都心のオフィス街と同水準のアクセス利便性と物流施設としての機能性が売り物だ。プロトタイプ開発拠点とデモルームの併設やショールーム兼配送拠点、さらに音響・映像スタジオなど、既存のオフィスや物流施設の垣根を超えた新たな発想の拠点を提供する。

▲プロロジスアーバン東京押上の外観(出所:プロロジス)

プロロジスアーバン東京押上1は、東京スカイツリー直下に立地する既存施設を賃貸用物流施設に改修。物流スペースを含む多機能なビジネス拠点を必要とする企業に賃貸する。ことし2月にリノベーション工事に着手し、ことし夏ごろに完成する予定であり、入居企業を募集する。

プロロジスは郊外の大型先進的物流施設ブランド「プロロジスパーク」に加えて、2020年には「プロロジスアーバン」の提供を開始しており、プロロジスアーバン東京押上1は、品川区、足立区、大田区などに続くシリーズ第5弾となる。

プロロジスアーバン東京押上1は、京成電鉄・都営地下鉄・東京メトロ・東武鉄道の「押上駅」より徒歩5分、「とうきょうスカイツリー駅」より徒歩9分の地点に立地。東京駅からわずか5.5キロ、首都高速6号向島線「向島」出入口より1.2キロと、都内全域への車両での高いアクセス性が最大の強みだ。

周辺には東京ソラマチをはじめとする商業施設や店舗が立地し、車5分圏内には5万人が居住。周辺商業施設への店舗間配送や、EC(電子商取引)フルフィルメント拠点、ダークストアとしての利用ニーズが想定されるほか、城東・城北エリアへの即日配送やラストワンマイル拠点としても理想的だ。

プロロジスアーバン東京押上1は、地上5階建てで延床面積6900平方メートルの既存施設をマルチテナント型施設として改修。1階・3階・4階は、物流をはじめ多用途で利用できるスペースとし、2階・5階はオフィススペースとして整備する。

1階から3階および4階へは、スロープを利用して4トントラックが直接アクセスできる構造であり、効率的な物流業務を支援。3階部分には30台の乗用車・貨物車を駐車可能な屋内駐車場を備える計画とし、従来のオフィスビルでは対応が難しい多数の営業車両や貨物車両の保管対応が可能だ。

物流スペースの階高は、1階が7.4メートル、3・4階が6.2メートル、床荷重はいずれも1平方メートルあたり1.6トンと、標準的な先進的物流施設を超えるスペック。重量機器や長尺の荷物保管にも対応可能であり、業務用大型プリンターや医療機器、光学顕微鏡などのショールームやスタジオとしての利用も想定する。

入居区画として、1階物流スペースおよび2・5階オフィススペースの利用、3・4階物流スペースおよび5階オフィススペースの利用、5階オフィスのみの利用の3パターンを整備。最大5企業の入居を可能とする計画だ。

▲東京スカイツリーの直下に立地する(出所:プロロジス)

プロロジスアーバン東京押上1の概要
所在地:東京都墨田区押上2-21-2
敷地面積:2433.63平方メートル
延床面積:6925.64平方メートル
構造:地上5階、地下1階

新しい生活様式の時代を見据えた「物流施設」のあり方を問いかける新発想

プロロジスが今夏に稼働する「プロロジスアーバン東京押上1」は、都市部の後背地に整備するのが常道とされてきた物流施設開発のあり方に一石を投じる“挑戦”と位置付けることができる。賃貸用物流施設として整備するものの、物流拠点以外の活用も想定する実質的な「マルチテナント施設」と位置付けることで、都心部での物流施設開発の可能性を追求する意味合いを見出すこともできるだろう。

いずれにせよ、既成概念を打破する“物流施設”になることは間違いない。音響スタジオの上階で、小売店向け野菜の仕分け作業が繰り広げられる、そんな光景が現実になるかもしれない。配送拠点が消費地に近いところにある利点は少なくない。物流ビジネスの立地論を考える上で、格好の題材になるだろう。

東京近郊の物流施設では、事務所など空きスペースをオフィスとして貸し出す取り組みが始まっている。こうした取り組みは、むしろ今回のような都心での施設開発でその威力が最大化される。

新型コロナウイルス感染拡大を契機とした「新しい生活様式」の時代を見据えて、物流サービスはニーズに即応してその姿を劇的に変える必要に迫られる可能性もある。郊外型の巨大施設と、都心部の小回りの利くラストワンマイル配送の高精度化、こうした二極化が極限まで進むかもしれない。今回のプロロジスによる新施設は、そんな時代を強く予感させる取り組みと受け止めた。(編集部・清水直樹)