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川崎汽船など4者、液化CO2船舶輸送の研究加速へ

2022年2月2日 (水)

環境・CSR川崎汽船とエンジニアリング協会、日本ガスライン(松山市)、お茶の水女子大学の4者は2日、2023年後半の液化CO2輸送実証試験船の完成に向け、液化CO2の船舶輸送にかかる研究開発をさらに加速する方針を明らかにした。安全で低コストな液化CO2の船舶輸送技術の確立と、CCUS(二酸化炭素の回収・有効利用・貯留)技術の実用化に貢献する。

エンジニアリング協会と山友汽船(神戸市中央区)は、液化CO2輸送の実証試験船にかかる傭船契約や舶用タンクシステム購入契約を締結した。山友汽船は、エンジニアリング協会の研究開発に基づく舶用タンクシステムの製造と、それを搭載した液化CO2輸送実証試験船の建造を三菱造船(横浜市西区)に発注。エンジニアリング協会は、船の完成時に山友汽船から液化CO2輸送の実証船を借り受け、船舶による液化CO2輸送技術を確立するための研究開発と船舶輸送の実証試験を実施する。

▲液化CO2輸送の実証試験船イメージ(出所:川崎汽船)

実証船では、CCUS事業向け液化CO2輸送をテスト。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が21年度から実施している「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCUS大規模実証試験/CO2輸送に関する実証試験/CO2船舶輸送に関する技術開発および実証試験」でエンジニアリング協会が運用し、2023年度後半から液化CO2輸送に従事する予定だ。

川崎汽船など4者は、この実証事業でさまざまな積載状態での運用や多様な気象・海象での運航データを収集する。エンジニアリング協会は、船舶による液化CO2輸送技術や舶用タンクシステムの研究開発・実証試験の企画、評価、解析や船舶関連の総括を担う。

川崎汽船は、長年にわたる液化ガス輸送船の保有・運航実績や液化水素運搬船事業の経験を活かし、輸送・荷役時における安全性評価と技術的なガイドラインを策定。日本ガスラインは、50年以上にわたる内航LPG(液化石油ガス)船オペレーターの経験を基に、実証船試験船の運航や管理を行う。お茶の水女子大学は、二酸化炭素の温度や圧力、流動による相変化制御に関する基礎基盤研究を行い、安全な輸送検討に必要な情報を提供する。