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シーネット、佐賀の物流企業にクラウドWMS導入

2022年2月4日 (金)

▲KITSラインの低温物流センター内(出所:シーネット)

サービス・商品シーネット(千葉県船橋市)は4日、鏡運送グループのKITSライン(佐賀県吉野ヶ里町)の低温物流センターにクラウド型WMS(倉庫管理システム)「ci.Himalayas/R2」を導入したと発表した。

KITSラインは、九州を拠点に3温度帯輸送を展開するとともに低温倉庫を保有。佐賀県が実施する2021年「DXフラッグシップモデル創出事業費補助金」事業に選定されるなど、率先してDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進する物流企業だ。今回のWMS導入も現場業務のDX化の一環だ。

KITSラインは、既存の業務からの脱却を図るためシステムの刷新を推進。本格的なDX化に取り組んでいる。シーネットは、こうしたDX化の中軸となるWMSを他のシステムに先駆け導入。運用に合わせて必要な機能を第2フェーズでリリースすることにより、早期の基盤づくりと今後のシステム連携の道筋を提示。従来の業務の流れを変えることなく21社の荷主を対象とした同時稼働を実現した。

現在KITSラインでは、他システムをWMSと連携させることで現場の最適化を行い、さらなる荷主拡大に向けて取り組んでいる。シーネットは、今後もKITSラインが目指す物流DX化の実現に向けて、段階的に提案を進めながらシステム運用サポートをしていく。

物流サービスの地域格差をなくすDX化

物流DX化のもたらす効果として、物流業界における地域間のサービス格差をなくす意味合いもある。今回のシーネットの取り組みは、こうした格差の解消を図る観点で見ると、非常に意義深いものであると言えるだろう。

倉庫業を含めた物流ビジネスは、地場産業の色彩が濃い領域として認識されてきた。それぞれの地域に根ざした運送会社や倉庫運営会社が存在し、地盤とするエリアにおける圧倒的な信頼を得てきた。いわば、地域経済を下支えする役割を引き受けてきたと言える。

(イメージ)

しかし、消費スタイルの多様化で全国一律の輸配送網が構築されるようになった今、地域密着の物流プレイヤーもこうしたネットワークと無縁ではいられなくなった。もちろんビジネスチャンスが膨らむことを意味するのだが、情報共有や連携を図るうえでシステム化を推進する必要にも迫られるようになった。結果として、物流現場におけるシステムの平準化が進むことになる。

とはいえ、そこはやはり立地産業たる所以か、なかなか地方の物流企業にDX化の波は押し寄せてこないのも実情だ。こうした壁を打ち破るのが、シーネットのような企業の取り組みだ。地方の物流企業も、都市部と同様に人材不足に頭を悩ませている。

DX化が物流サービスの地域格差をなくすことになれば、地方に商品の製造拠点を設けて地方から全国に発送するビジネスモデルがさらに構築しやすくなる。経済の活性化策としても、地方における物流DX化がもたらす効果は決して小さくない。(編集部・清水直樹)