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日本とASEANの専門家会合、物流品質向上へ議論

2022年3月7日 (月)

イベント国土交通省は4日、ことし2月24日に開催した「第18回日ASEAN(アセアン)物流専門家会合」の内容を公表した。ASEANにおけるコールドチェーン物流の品質向上をはじめ、環境に優しいグリーン物流の促進や物流サービスの向上につながる人材育成の取り組み、国際海上コンテナ需給ひっ迫への対応について情報を共有。日本の物流事業者を代表して三菱倉庫がワクチン輸送にかかる取り組みを発表した。

今回の会合は、コールドチェーン物流の促進▽グリーン物流の促進▽国際海上コンテナ輸送の需給逼迫への対応▽ワクチン輸送にかかる日本の物流事業者の経験――の4つのテーマで議論した。

コールドチェーン物流の促進については、国交省よりインドネシアとフィリピン、マレーシアとの間で実施した二国間政策対話や、ことし2月に開催したマレーシアにおけるコールドチェーン普及啓発セミナーの結果を報告。日本の提案によりISO(国際標準化機構)に設置されたコールドチェーン物流に関する技術委員会の取り組みを紹介し、各国に参加を呼びかけた。

ブルネイは、2020年に政府全体で物流改善を議論するために設置したタスクフォースにおいて、日本・ASEAN間のコールドチェーン物流ガイドラインをベースとした国家規格化に向けた議論をことしから開始したと報告。カンボジアは、日本・ASEAN間コールドチェーン物流ガイドラインをベースとした国家規格化や認証体制の整備を盛り込んだコールドチェーン物流の促進に向けたアクションプランを年内に策定するとした。

インドネシアは小口保冷配送サービス規格をベースとした国家規格の策定について、シンガポールは冷蔵・冷凍食品の保管と輸送に関する国家規格を2020年に策定した、と説明した。

グリーン物流の促進については、日本とASEAN各国がグリーン物流を促進する政策について情報を共有。カンボジアとベトナムが、今後グリーン物流パートナーシップ会議を開催する計画があることを発表した。

▲第18回日ASEAN物流専門家会合の様子(出所:国土交通省)

国際海上コンテナ輸送の需給ひっ迫への対応については、国交省より日本への影響や対応策を紹介。シンガポールは、世界的なサプライチェーンの混乱を受けて、食糧の90%を輸入に依存している状況を打開するため30年までに食糧自給率を30%に引き上げる目標を掲げていると説明した。

最後に、ワクチン輸送にかかる日本の物流事業者の取り組みについて、三菱倉庫が国内ワクチン流通における輸送・保管時の留意点や専用輸送容器の活用について説明した。

会合には日本を含めて10か国の政府関係者とASEAN事務局メンバーら93人が参加した。