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日本郵船、完全自律船コンセプト設計で認証取得

2022年3月15日 (火)

認証・表彰日本郵船は15日、日本郵船グループのMTI(東京都千代田区)、日本海洋科学(川崎市幸区)の2社と、無人運航船実現へのコンセプトとなる完全自律船フレームワークを開発し、日本海事協会とフランス船級協会から安全性を評価されコンセプト設計の認証を取得したと発表した。完全自律船にかかる船級認証の取得は国内初の事例となる。

海運業における課題として、内航船員の人手不足と高齢化、ヒューマンエラーによる海難事故が挙げられる。こうした課題の解決に向けた取り組みとして、日本財団が進める無人運航船プロジェクト「MEGURI(めぐり)2040」における「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に、日本郵船グループも参画し、無人運航船の社会実装を目指して技術開発を進めてきた。

(出所:日本郵船)

今回の取り組みでは、日本郵船グループが開発した有人自律船フレームワークを無人運航船向けに応用した完全自律船フレームワーク「APExS-auto」を開発。実際のシステムに反映させたことで2月26日から3月1日までの実証実験の成功に貢献した。

APExS-autoは、完全自律運航のための計画実行システム。有人自律船フレームワークは、コンピューターを中心とした高度な情報処理技術やリスク分析により、乗組員の状況認識と意思決定をサポートし、承認された行動計画を実行するという一連の流れをコンセプト化している。APExS-autoはそのコンピューター部分の役割について、さらに能動的な人間のサポーターと位置付け、機能をより高度化させた。

▲従来手法とモデルベースデザイン(クリックで拡大、出所:日本郵船)

日本郵船などはAPExS-autoを開発するにあたり、海運業界では珍しいモデルベースデザインという開発手法を採用。モデルベースデザインは自動車業界ではすでに広く普及している開発手法で、複雑なアイデアをモデルで表現し階層を分けて設計を行い、そのモデルに対してシミュレーションを繰り返しながら開発と検証を同時並行的に進める。技術のアイデアや要素、仕様を最初に作り込み最後に完成したものを検証する従来の手法と比べて、開発の手戻りを極力少なくすることで大幅な効率化と時間短縮を実現した。

船舶における各種機能の開発においては、実環境で検証を重ねるのが難しいため、今後海運業界においてもモデルベースデザインの開発手法が取り入れられていくと考えられる。

日本郵船グループは国内外のパートナーとの連携をさらに深めて協業することにより、引き続きAPExS-autoを駆使して高度な安全運航に資する自律船技術の開発に取り組む。