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フレクトが物流DXへ訴求するモビリティ業務最適化クラウド

適時車両管理のCariot、「見える化」で業務改善支援

2022年3月30日 (水)

話題「ただいまA店への納品、完了しました」「B店に予定通り商品を納めました」。配送ドライバーが店舗に商品を納入した「店着」報告の電話が鳴り止まない。

(イメージ)

関東地方にある食品運送会社の物流センター。事務所の店着確認担当の女性は、連絡を受けるたびに所定の用紙にチェックをペンで入れていく。数十か所にも及ぶ店着確認をようやく済ませると、用紙のデータを着信履歴と付き合わせながらエクセルシートに変換し、荷主企業の担当者にその日のうちに電子メールで送付しなければならない。先日は荷主へデータを送る直前に記載漏れが見つかり、トラブル寸前の事態となった。上司からは残業しないように厳しく言われている。「決まった作業とはいえ、神経を使うし時間も取られる。もっと効率良くできないかな」

ところが、この物流センターにあるシステムが導入されると、女性の仕事は劇的に変わった。車両の位置を正確に把握する機能を持つシステムが、店着確認を自動で検知し関係者にメールで送付。荷主企業への報告も自動集計で手間いらず。女性の作業はほぼなくなった――。

まさに物流DX(デジタルトランスフォーメーション)によるアナログ業務の効率化を象徴するこのシステム。クラウドソリューションを手掛けるフレクトが独自に開発したモビリティ業務最適化クラウド「Cariot」(キャリオット)だ。フレクトは、このCariotのコア機能であるリアルタイム位置情報活用を訴求することで物流業務のDXを促進し、持続的な成長につなげていく取り組みを進めている。

フレクトがCariotで訴求したい「二つの機能」

「クルマがつながる、シゴトが変わる」。Cariotの強みは、このコンセプトの実現に向けて、社用車や営業車、配送車、トラックなどさまざまなクルマの情報を取得するデバイスからクラウド活用まで、ワンストップでサポートできることだ。

▲Cariotの位置情報確認画面

冒頭で紹介した物流センターでは、納品先の店舗からも「あと何分で来てくれるのかな」「うちへ来るトラック、今どこにいるの」といった車両位置確認の照会電話も相次ぎ、担当者は一日の大半をその対応に費やす有様だった。Cariotの導入により、配送トラックの位置を担当者がリアルタイムで把握できるだけでなく相手にも共有できることで、問い合わせ対応に割かれる時間が大幅に減少。別の注力すべき業務にその時間を充てられるようになった。

「フレクトがCariotで広く提供したい機能は二つあります」。フレクトの大槻真嗣・執行役員Cariot事業部長は、「リアルタイム情報を活用した車両の状態把握」「そのデータの記録・管理のデジタル化」の両方の機能を提供することで、その現場における業務全体の生産性を高めることこそが、Cariotの存在意義であると強調する。

▲フレクト執行役員Cariot事業部長の大槻真嗣氏

EC(電子商取引)の普及や新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配ニーズの高まりによる消費スタイルの多様化は、物流業界に大きな変革を迫った。荷物の物量と種類の急増は、人手不足やデジタル化の遅れなど構造的な課題を浮き彫りにするとともに、抜本的な業務の効率化を求めた。こうした動きに呼応して、にわかに注目を集めるようになったのが「物流DX」だ。「物流DXに対応できるか否か。それが今後、生き残れるかどうかの分かれ目になると考えています」(大槻氏)

フレクトがモビリティ業務最適化に将来性を見出した産物だったCariot

2005年にBtoC向けウェブやモバイルアプリ開発でスタートしたフレクトは、2014年頃からIoT(モノのインターネット)のシステム受託開発を本格化。「なかでも、営業車や建設車両、巡回バスなどの動態管理による『見える化』のシステムは、IoTで業務を効率化することで社会に貢献できるビジネスになる、との手応えがありました」(大槻氏)。ここで2016年にスタートしたのが、Cariotだった。

大槻氏は、フレクトにおける「DX支援」ビジネスとして価値を提供できるソフトウェアサービスとして初めて本格的に提供を始めたのがCariotだったと振り返る。

「3秒に1回のペースの情報更新で車両動態のリアルタイム性を追求したのがCariotです。画面に車両の訪問先到着を適時に表示する。そこに高い将来性を感じたのです」。大槻氏は、こうしたリアルタイムの情報共有を「滑らかなコミュニケーション」と特有の言い回しで表現する。

アルコールチェック義務化への対応はCariotの面目躍如だ

こうした滑らかなコミュニケーションでDXを推進するCariot。2022年度を迎えるこのタイミングで、フレクトが注力している領域がある。道路交通法の施行規則の改正に伴い、ことし4月1日と10月1日に順次施行される「アルコールチェック義務化」への対応だ。

飲酒運転による事故が減らない状況を受けた政府の措置。まず4月1日には、運転前後の運転者の状態を目視などで確認することにより運転者の酒気帯びの有無を確認すること、さらに酒気帯びの有無について記録し1年間保存することが義務付けられる。続いて10月1日には、運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うことと、アルコール検知器を常時有効に保持することが義務化される。

フレクトはこうした義務化の施行に対応するため、Cariotに「アルコールチェック結果管理」「アルコール検知器メンテナンス管理」の二つの機能を新たに加えた。

▲アルコールチェック結果管理画面

アルコールチェック結果管理機能は、管理者がドライバーとの酒気帯び有無の確認結果を手動で入力。クラウド上に保存されるので、Cariot上でいつでも確認できるのが特徴だ。記録は1年間保存され、書類整理の手間削減や書類作成効率の向上が図れる。

▲アルコール検知器メンテナンス管理画面(クリックで拡大)

またアルコール検知器メンテナンス管理機能は、管理者がアルコール検知器のメンテナンス情報をCariot上に登録することで、アルコール検知器を正常に作動し故障がない状態を維持する作業をサポート。週次・年次のメンテナンス記録をいつでも確認できるとともに、メンテナンスがなされていない場合にはアラート設定により管理者にメンテナンスを促す機能もある。

さらに、Cariotで2022年10月の施行にあわせ現在検討されている機能進化が、「アルコール検知器との連携を含むリモート点呼サービスとの連携」だ。「既存のアルコール検知機能を含むリモート点呼サービスと連携することで、遠隔型と対面拠点型どちらにも対応しながら、結果をCariot上の情報と結びつけて確認・管理できるようにすることを検討しています。」(大槻氏)。

機能の詳細がわかるCariot(キャリオット)の製品紹介および資料請求等は、こちら

Cariotの「ありたい姿」、それは持続的な成長を指南することだ

車両管理という切り口から物流業界にDXを訴求することで業務改善を図り、輸送ニーズのさらなる高度化・多様化が進むであろう「新しい生活様式」の時代にも持続的成長を実現できる組織への変革を支援するCariot。フレクトは、Cariotによるソリューションビジネスの「ありたい姿」をどう設定しているのだろうか。大槻氏に聞いてみた。

「配車計画や点呼など、さまざまな車両データが集まるだけのプラットフォームになる気は全くありません」。そう、データは集めることに意義があるのではない。それを活用して「見える化」することで課題を抽出した結果として、ソフトウェアによる業務支援や代替をすることが目的だからだ。さらに言えば、業務改善を実現して現場の人が無駄な業務がなくなることで、初めてゴールに到達するのだ。それが大槻氏の考えるCariotのありたい姿だ。

「荷主からドライバー、配車係や安全運転管理者や運行管理者まで、車両を使った業務に関与するさまざまなメンバーが共通の物差しで蓄積したデータを『見える化』という手法で、あるべき方向性を示すこと。それがCariotの役割になっていくと考えています」(大槻氏)

具体的な感覚は、車両の位置情報やドライバーの状況がリアルタイムで関係者全員に共有されていることで、指示を出さなくても業務が自律的に完遂されていくイメージだという。

「Cariotは、見えなかった情報を『見える化』できるサービスです。つまり、見えない情報がなくなることで、相互で確認し合わなくても意思の共有ができる。それが究極の『滑らかなコミュニケーション』ではないでしょうか」

大槻氏の最後のフレーズが物語る、物流DXのあり方。「滑らかなコミュニケーション」の真意は、人間同士の情報共有というビジネスの原点に回帰してメンバー全体が同じ目標に向かって業務の最適化に励む。そんな意思が隠されているのかも知れない。そこがCariotというクラウドシステムの魅力なのだろう。

より詳しいCariot(キャリオット)の製品紹介および資料請求等は、こちら
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