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多彩な機能で物流の業務効率化

運行管理の現場が“つながる”アプリ「Buddycom」

2022年3月30日 (水)

話題「携帯に何度電話しても出なくて困ってしまった」「着信があったので発信者に折り返したが、逆につかまらない」――。オフィス勤務のデスクワーカーと、社外で汗を流すデスクレスワーカーという就業環境が異なる両者の間では、このような「コミュニケーションロス」はありふれた光景だ。それはドライバーに輸配送の指示や情報を伝える運行管理者と、それを受け取りながら荷物を運ぶドライバーたちの間でも決して例外ではない。迅速かつ正確な業務連絡は仕事の鉄則だが、「できればスマートに済ませたい」。双方からそんな本音も聞こえてきそうだ。

そんなコミュニケーションにまつわる悩みを解消してくれるのが、サイエンスアーツ(東京都新宿区)が開発販売しているIP無線アプリ「Buddycom」(バディコム)だ。音声通話だけでなく、文字による情報連携や位置情報の把握、映像配信といった機能を複合的に活用したプラットフォームであり、「かんたん」「速い」「間違わない」を売りにしている。インターネットに接続できる環境であれば、人と人を切れ目なくつないで、円滑な意思疎通を図ることができる。2015年9月の発売以来、日本航空(JAL)やJR東日本、イオンリテールといった各界の大手企業をはじめ、北海道や新潟県といった地方自治体でも次々と導入が進み、利用数は国内外で440社を突破した。その解約率はわずか0.5%。つまり利用継続率は99.5%という高さを誇っている。

Buddycomトップページ

IT不慣れでも簡単な操作性、一斉発信機能で「連絡は激減」

航空、鉄道、小売、介護、建設など幅広い業界・企業から、圧倒的な顧客満足度を得ている理由は何か。それはシンプルな操作性でありながら、電話や無線、チャット、動画などが持つ利点を凝縮した秀逸な性能に尽きる。使い勝手の良さについて、経営企画の峯悠氏は「Buddycomは誰でも簡単に扱うことができます。年齢や性別、国籍は関係ありませんし、ITの知識や機器の操作に苦手意識がある人も無理なく使い始めることができます」と強調する。専用の機材や端末は要らず、市販されているスマートフォンかタブレットにアプリをインストールするだけで設定は完了。通話はスマートフォンの画面に表示された大きなボタンを押しながら話し掛けるだけ。実際にユーザー企業から「説明書がなくても大丈夫」という声が出るほどの直感的な仕様となっている。

▲年齢・性別・国籍問わず、ITや機械操作の知識がなくても直感的に使えるのがBuddycomの特長だ

機能性に目を移せば、安定した通話が可能な音声通話、「1対多」のコミュニケーションに優位性がある無線交信、やり取りした履歴が残るチャット連絡など、多彩なコミュニケーション手段が、1台の端末に集約されているのが魅力だ。英語や中国語、フランス語など16の言語に対応した「トランシーバー翻訳」も搭載。徹底したユーザーの現場目線で開発されている機能性に惚れ込んで、導入に踏み切る企業が多いのも頷ける。利用料は1ユーザー当たり月額660円から始められ、高いコストパフォーマンスも注目を集める理由の一つとなっている。

近年は、慢性的なドライバー不足や長時間労働の問題に加えて、長引く新型コロナウイルス禍を背景にした宅配需要の急増などを受け、業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)・デジタル化の流れが加速している運送業などのロジスティクス領域からの引き合いも少なくないという。サイエンスアーツは、物流業界に向けてどのように訴求しているのだろうか。

峯氏は「グループ通話、音声テキスト化、ライブキャスト(映像のリアルタイム配信)」の3つをポイントに挙げる。例えば、運行管理者が複数のドライバーたちに対して、一斉に連絡を取らなければならない状況をイメージしてみよう。管理者は通常、一人ひとりのドライバーに個別で連絡する必要があり、人数によっては膨大な時間と手間がかかる。一方で、ドライバー側はハンドルを握っているため、スマートフォンの端末を操作して即応することが難しいケースは多い。こうした状況でスムーズな情報伝達に活躍するのが「グループ通話」だ。

机の前でパソコンを使用する管理者をイメージしてみよう。BuddycomはWindows版に対応しているため、管理者は連絡を取りたいドライバーたちに対して、画面上で一覧を表示しながら話し掛けることができる。各ドライバーが携帯しているスマートフォンの端末には、自動的にリアルタイムでその音声が流れる。ハンドルを握っているドライバーはスマートフォンに一切触れる必要がなく、コミュニケーションが完結するからスムーズだ。

▲Windows版はグループごとに管理し、円滑なコミュニケーションを図ることができる

「1グループ当たり最大2000人への同時発信を検証済みですが、実質無制限です。ユーザー数やグループ数に上限がありません。どのような利用シーンを想定しても、管理者は電話をかける回数を劇的に減らすことができます」(峯氏)。さらに、ラインナップが豊富な周辺機器のスピーカーマイクなどを併用すれば、運転中でも双方向で通話ができるようになる。

物流会社(SBSゼンツウ)導入事例

音声テキスト変換やリアル映像の配信は緊急時も活躍

▲音声テキスト化で人の声を瞬時に変換。辞書登録機能で複雑な言葉も正しく伝わる

「音声テキスト化」は人の声を文字に自動変換し、端末上で文字情報として瞬時に表示するものだ。ドライバーが管理者からの連絡を聞き逃したり、聞き間違えたりするミス防止効果に期待が持てる。物流業界の現場では特有の専門用語や言い回し、車両ナンバーといった情報が頻繁に飛び交うため、文字で情報が残せる機能は重宝される。事前に辞書登録することが可能なため、現場に最適なカスタマイズができるのも嬉しい。管理者、ドライバーともに何度も折り返しの電話をかけるというコミュニケーションロスは格段に減らすことができ、コア業務に集中する時間と環境の確保につながるというわけだ。

平時はもちろん、有事の際に力を発揮する機能も充実している。交通事故や車両の損傷といった緊急時に役立つのは「ライブキャスト」。現地のライブ映像をリアルタイムに伝えながら会話が可能で、管理者が音声や文字、写真だけではわかりにくい現場の状況をより的確に把握でき、遠隔での緊急時の現場対応を支援できる。

▲リアルタイムの映像とともに会話できるライブキャスト機能

クリアな音声通話に強み、他社連携でサービス拡充

▲インカムなど周辺機器も充実

サイエンスアーツは、コアコンピタンス(企業の中核となる強み)としてクリアな音声通話を位置付け、音声テキスト化やライブキャストは国内特許を取得している。独自の音声データを圧縮する先進技術を用いた音声通話を基軸に、さまざまなコミュニケーション機能の拡張を続けている。競合として挙げられる車載型のMCA無線機などと音質面を比べると、雑音のない聞き取りやすさは歴然としており、ユーザーから「声だけで個人が特定できる」という声が出ているほどだ。

その開発スピードの速さにも眼を見張るものがある。原動力となっているのは、チームワークを重んじる風通しの良い社風だ。「営業と開発の部門間に垣根がないので、セールスに開発チームのメンバーが同行することもしばしば。お客様にいただいた要望や課題に対して、すぐデモ版を作って前向きな提案や改善につなげています」(営業本部マネージャーの加納佐有子氏)。一方で、社外のソリューションを巧みに取り込む強かさも併せ持っている。他社が提供するチャットやストレージ、カメラ、収集データ分析などのサービスとの連携を積極的に展開。一段と機能面を押し上げ、法人向け業務連絡用のIP無線サービスにおける唯一無二の立ち位置を築くという「全方位戦略」で差別化を図っている。

スマホ1台でアナログ経営から脱却、物流DXの「答え」

日々進化を遂げているBuddycomは近く、AI(人工知能)を活用した音声版のチャットボットやウェアラブルカメラとの連携、居眠り運転の検知サービスといった従来にないサービス提供も控えている。サイエンスアーツは2021年11月に東京証券取引所マザーズへ新規上場し、23年9月には創業から20周年という節目を迎える。企業理念に掲げている「世界中の人々を美しくつなげること」を実現するため、新たにどのような機能を通じてビジネスシーンにおけるコミュニケーションの「理想形」を見せていくのか目が離せない。

▲「スマートフォンを使うためにBuddycomの導入を」と提案する経営企画の峯悠氏

「現場にスマートフォンがあればDXを進められそうだけど、どう使ったら良いか分からないし、一人一台は高い」――。スマートフォンの導入に二の足を踏む、こんな企業に対して峯氏はこんな視点で提案をする。「スマートフォンを使うために、Buddycomを導入してみてはいかがでしょうか」。無線機などの端末を現状でも導入していれば、Buddycomのためだけにスマートフォンを導入することは十分検討の余地がある。何よりも、スマートフォンがあれば、さまざまなアプリケーションを使えるようになる。一つひとつはスマートフォンを導入するための要因になり得なかったかもしれないが、Buddycomであれば、業務上で恒常的に発生するコミュニケーションという課題にアプローチしており、連携が上手くいくことによって生産性が上がることの波及効果は大きい。

Buddycomは、物流企業が抱えている非生産的な「アナログ体質」からの経営脱却へ向けて一石を投じるソリューションであり、遅々として進まないデジタル化・DX化を後押ししてくれる「答え」の一つなのかもしれない。

物流シーンでのBuddycom活用について
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