行政・団体トラックエンジンの排出ガスや燃費にかかわる不正なデータ取得をめぐり、日野自動車は25日、国土交通省から通告を受けたエンジンの型式指定取り消しの行政処分について、「意見はない」とする陳述書を国交省に提出したと発表した。国交省は道路運送車両法に基づき、対象となるエンジン4機種の型式指定取り消し手続きを行う方針。
日野自動車は4日、国内市場向け中型や大型のトラックに搭載しているエンジン3機種で不正行為があり、性能にも問題があると発表。搭載車両の出荷を停止している。
同社はこの日、小型バス向け小型エンジン「N04C(尿素SCR)」について、燃費測定試験で不正行為があったと明らかにした。同エンジンが燃費性能基準を満たしていない可能性を認識していたにもかかわらず、燃料流量が安定する前に測定を始め、有利な条件でデータを取得していた。さらに複数回測定した結果の中から、最も良い値を採用する不正行為も確認したと説明した。同エンジンはトヨタ自動車の小型バス「コースター」にも搭載されているが、モデルチェンジしているため新規の出荷分はないとしている。
一連の不正行為を公表した4日には、同エンジンが実際の燃費性能で諸元値を満たしていなかったとした一方で、不正行為の有無は調査中としていた。同社は業績への影響は精査中としている。
また、中型エンジン搭載の中型トラック「日野レンジャー」に一部車両について、国交省にリコールを届け出たことも発表した。2017年4月からことし3月に製造された4万7000台が対象。経年変化により排出ガス中の窒素酸化物の排出量が規制値を超過する可能性があるため。暫定措置として排出ガス浄化装置の触媒の交換などを行う。