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日本郵船、船舶プラント診断で最高評価を取得

2022年3月31日 (木)

▲(左から)日本海事協会会長坂下広朗氏、日本郵船専務執行役員小山智之氏(出所:日本郵船)

認証・表彰日本郵船は3月30日、日本海事協会から革新的な取り組みを評価するInnovation Endorsement(イノベーション・エンドースメント、IE)のプロバイダー認証において、最高評価となる「クラスS」を取得したと発表した。日本郵船は、IEプロバイダー認証クラスSを取得した初の企業・団体となる。

日本郵船がフィリピンに設立した船舶の機関プラント遠隔診断・監視を行う「Remote Diagnostic Center」(リモート・ダイアグノスティック・センター、RDC)の取り組みと、その活動を企画した組織体制が評価された。

今回のIEプロバイダー認証の審査にあたっては、2019年に発行されたイノベーション・マネジメントシステムの国際規格「ISO56002」に準拠した運用手順に加えて、RDCでの監視体制や遠隔診断の精度の高さについても高く評価した。

RDCでは、日本郵船が開発した、運航船のエンジンや各種装置に搭載したセンサーなどからデータを収集し、燃料消費用量の最適化や安全運航に活用するシステム「SIMS」を搭載した船200隻の機関プラントをAIで常時遠隔監視・診断する「異常検知システム」をはじめとした先進的な船舶管理手法を運用。機関プラントの専門知識を持った海技者がAIの検知結果を精査し、修理・点検などの対応が必要と判断した場合は各種データと異常の原因推定などの情報を速やかに本船と船舶管理会社に展開し、現場の迅速な対応を促す。

AIの検知結果だけでは判断しきれない点を人間が補完することで、現場により確度の高い情報を提供する体制を構築。船舶の重大事故防止を図る。

日本郵船は今回の最高評価取得を契機として、先進的な船舶管理手法を業界内でスタンダード化することも目標に掲げ、さらなる研究開発と普及活動を進める。さらに、将来的にはRDCを自律運航船の遠隔監視制御を担うコントロールセンターへ発展させることも視野に入れる。