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森永乳業とワタミが宅配で協業、テーマは「健康」

2022年4月4日 (月)

(出所:森永乳業)

フード森永乳業は4日、食事宅配サービス事業「ワタミの宅食」を展開するワタミと宅配分野で協業すると発表した。森永乳業の宅配商品を弁当とセットで届けるなどのサービスを始める。

森永乳業の「心とからだの両面からお客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで、笑顔あふれる豊かな社会をつくりたい」との経営理念が、ワタミが「ワタミの宅食」事業の目的に掲げる「一人でも多くのお客様にまごころを込めた食の宅配サービスを通じて、心とからだの健康をお届けすること」に通じることから、このたびの協業が実現した。

森永乳業は、乳幼児から高齢者まで、幅広い世代の方に向けた商品ラインアップを展開。ワタミは「ワタミの宅食」について、健康的な食生活をサポートしていくため、弁当や総菜だけでなく栄養機能に優れた食品の提供を実現したいとの意向があった。両社は「健康」をキーワードとした相乗効果の創出につなげられると判断。顧客ニーズに沿った提案を深められることから、このたびの協業に踏み切った。

協業による具体的な取り組みとして、まずは両社の商品を組み合わせて宅配するサービスを開始。管理栄養士が塩分やカロリー、品目数などに配慮しながら日替わりで献立を設計している「ワタミの宅食」の弁当や惣菜と、不足しがちな栄養素であるカルシウムやたんぱく質、ビフィズス菌などの機能性素材が入った乳製品などを、「ワタミの宅食」の配送スタッフが一緒に届ける。「日替わり全20食」と森永乳業「カラダ強くするのむヨーグルト」20本を一緒に届ける、などのイメージだ。

森永乳業とワタミの協業、宅配ビジネスの「質」を高めるパートナーシップの嚆矢(こうし)となるか

消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス禍による宅配ニーズの高まりで、注目されたのが食品デリバリー事業だ。弁当など食事メニューの宅配ビジネスは、もはや違和感もなく定着している感がある。

しかし、森永乳業とワタミによるこのたびの協業は、こうした食品デリバリーの規模を求める動きとは一線を画した取り組みと言えるだろう。森永乳業の製品ラインアップと「ワタミの宅食」の共通項、それは「健康」だ。つまり、健康を軸として両社の商品展開の「質」をさらに高めるためのパートナーシップというわけだ。

(イメージ)

ワタミは、店舗での食品提供と並行して、コロナ以前から弁当や惣菜の宅配サービスを展開。健康を意識した高品質なメニューを低価格で提供するビジネスモデルを打ち出した。まるで、今の世相を予見していたかのような取り組みだ。店頭での購入スタイルが頭打ちとなるなかで、森永乳業は消費者に訴求する場として、「ワタミの宅食」に着目したのは、健康というキーワードで自らの製品ブランドを毀損しない形で展開領域を広げられる、いわば一石二鳥の効果を狙ったと考えるのが妥当ではないか。

食品企業によるさまざまな思惑が、消費者にさらなる選択肢を提供していく。「新しい生活様式」の時代は、まさにメーカーと消費者の知恵比べのなかで、宅配市場が成熟していくのだろう。(編集部・清水直樹)