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日本GLPが再エネ事業に本格参入、電力安定確保へ

2022年4月5日 (火)

(イメージ)

環境・CSR日本GLP(東京都港区)は5日、再生エネルギー事業に本格参入すると発表した。2021年にスポンサー契約を結んだF-Power(エフパワー、東京都港区)の電力小売事業を譲り受けて同年11月にFPS(東京都港区)を設立し、このたび電力小売事業を開始した。

日本GLPは主力事業の物流施設開発・運営に加えて新規事業としてデータセンター分野に参入。さらにこれらの事業を支える新規事業領域として、再生エネルギー事業に本格進出する。

現在、全国で170棟の物流施設を運営・開発しており、データセンター事業への参入も計画している。こうした動きを加速するうえで喫緊の課題なのが、安定的な電力確保だ。

物流施設開発による発電とFPS設立による新規エネルギーの卸小売機能、そしてデータセンターや物流施設の運営による電力の需要家としてエネルギーのバリューチェーンを構築することにより、持続可能な社会の実現への貢献を目指す。

日本GLPが再生エネルギー事業で掲げる5か年計画における最大供給力は、物流施設とデータセンター事業で年間計1500メガワットと想定。対外的なエネルギー供給も合わせて、グループが有する人材などの経営資源を活用して、再生エネルギー事業を新たな事業の柱として成長させていく。

FPSを軸にした電力小売り事業を推進していくとともに、今後の電力小売事業拡大に向けて再生エネルギー事業へ追加投資を推進。国内最大級の再生エネルギー・ポートフォリオを構築し、日本最大級の再生エネルギー電力供給者となることを目指す。

日本GLPが物流開発とデータセンター事業の成長により必要とする電力需要を満たすため、まずは24年までに500メガワット、10年後をめどに1500メガワットの発電容量を確保。そのための用地や発電施設などの追加確保をはじめ、人材増員や新技術への投資などに今後5年間で5000億円以上を投じる計画だ。

太陽光をはじめとする再生エネルギーは、国内で生産できエネルギー安全保障にも寄与できる利点で、近年生産が拡大してきた。15年に採択された温室効果ガス排出削減にかかる国際的枠組み「パリ協定」の実現に向けて、国内では再生エネルギーの導入量が定められるなど、国内全体での脱炭素化に向けた再生エネルギーの需要は高まり続けている。

再エネ本格参入の日本GLP「新しい生活様式」の時代に勝ち抜く手駒をそろえたい思惑が

国内における物流施設開発でトップ集団を率いる存在である日本GLPが、いよいよ再生エネルギー事業に本格参入することになった。物流施設開発に加えてデータセンタービジネスに進出。ここで課題になった電力確保策として、再生エネルギーの事業化という形で解決を図ろうとしている。実にしたたかな戦略と言えるだろう。

発電コストが割高な再生エネルギーの事業化スキームには、まだ課題点もあるだろう。とはいえ、政府が掲げる50年までのカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化の取り組みを加速するにあたって、日本GLPが強い経営リソースを手にしたことは間違いない。

今後、世界は間違いなく脱炭素化を前提とした発展を遂げていく必要があり、なかでもあらゆる産業のインフラを担う物流業界は、こうした取り組みを他業界に先駆けて求められる公算が大きいからだ。

▲GLP ALFALINK(出所:日本GLP)

日本GLPは、大規模多機能型物流施設開発プロジェクト「GLP ALFALINK(アルファリンク)」を首都圏に加えて関西圏でも展開するなど拡大路線をまい進する一方で、物流施設展開を応用したビジネスとも言えるデータセンターにも手を広げ、物流施設運営に付随したビジネスの抱え込みとも受け取れる事業展開を急ピッチで進める。

背景には、新型コロナウイルス禍の収束とともに訪れる経済活動の急回復を見越した物流施設の「面」での拡充とともに、「アフターコロナ」「新しい生活様式」の時代に対応した「質」の追求を強めるために、再エネ事業はどうしても必要なパーツだったに違いない。(編集部・清水直樹)