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拠点集約で1日最大300台のトラックが入退場、車両待機問題は避けられない…

「LogiPullなしでは計画が破綻」三菱電機増産の立役者

2022年4月20日 (水)

話題「他社ではなかなか通らない要望もすんなり進んでいった」そう話すのは、トラック予約受付・バース管理システム「LogiPull」(ロジプル)を導入した、三菱電機ロジスティクス(東京都渋谷区)広畑グローバルロジスティクスセンターの大橋一輝センター長だ。導入のワケはこの一言にある。

▲三菱電機ロジスティクス広畑グローバルロジスティクスセンター長の大橋一輝氏

メーカーの物流拠点で導入が進むLogiPull。これまでに40社の導入実績がある中で、およそ6割が自動車・電機・化学品などのメーカーの物流拠点だ。三菱電機グループやキヤノンといった大手の名前も挙がる。

今回取材をする中で、大手電機メーカーの先進的物流拠点でLogiPullが選ばれた理由と、LogiPullの開発元であるシーイーシー(東京都渋谷区)のサービス提供に対するこだわり、費用対効果の高いロジックが見えてきた。(田中なお)

背景に「2024年問題」と物流領域の改善意識の高まり

そもそもLogiPullが導入される背景には、「2024年問題」をはじめとする物流領域の改善意識の高まりがある。国土交通省や経済産業省などが推進する「ホワイト物流」に企業として賛同したのはいいものの、具体的な対策を求められ、「どのように取り組めばいいかわからない」といった現場の声も多い。

具体的な取り組みの一つとして考えられるのが、物流拠点における”トラック待機時間の削減”だ。とはいえ、人力で改善できる部分には限りがある。そこで検討に値するのがトラック予約受付・バース管理システムだ。

基本パックとオプション、カスタマイズの組合せでニーズ満たす

シーイーシーが提供するLogiPull(ロジプル)の基本パッケージには、▽バース予約管理、▽車両入退管理、▽受付管理、▽車両誘導、▽実績管理の5つの機能がある。

▲LogiPullの主な機能群(クリックで拡大)

これらの基本機能で改善できる点は主に2つある。1つ目は待機時間と余剰コストの削減だ。トラックが集中して同じ時間に入場することがなくなり、滞りなく入出庫を進めることができる。そのため、周辺交通への配慮、トラックドライバーの長時間労働問題の解決への寄与、駐車スペースの削減が可能だ。また、予定が見える化されるため、荷役作業の予備人員も削減できる。「予定がわからないから、とりあえず5人配置するか」といったことがなくなるのだ。

▲課題と導入メリット(クリックで拡大)

2つ目は受付・誘導業務の省人化だ。例えば、受付カウンターにタブレット端末を設置する方法がある。ドライバーは無人のままタブレット端末で受付を済ませ、バースが空き次第、携帯電話の自動音声案内やショートメッセージサービスにより呼び出される。スマートフォンが支給されていないドライバーに配慮し、ガラケーにも対応可能だ。

広い敷地内に複数のゲートと集配先が存在する大きな生産・物流拠点ほど、受付・誘導業務の省人化によるコスト削減効果は大きい。「ホワイト物流」への貢献を謳う企業であっても、トラックドライバーの長時間労働抑制のために、自社のコスト負担が増えてしまっては社内稟議がおりないというのが本音のところだろう。

しかし、ここまで見てきた機能に対して、物流現場に携わる人間であれば多くの疑問や意見が浮かぶのではないだろうか。

「納品書はどうするのだろう」

「セキュリティーは担保できるのか」

「構内案内をせず、ドライバーは迷子にならないだろうか」

「予約管理をしてくれるのはいいが、バースや時間を自由に予約されては困る」

「受付・誘導業務のほかに、重量計測の業務もある」

▲オプション適用事例(クリックで拡大)

本気で省人化やコスト削減に取り組もうとすれば、こうした課題を無視してサービスを導入してしまうのは危険だ。結局、一部機能のみをシステム化しても、その他の不安材料や付帯作業に人手が必要になってしまい、根本的な省人化につながらないことがままある。

ここで生きてくるのが、LogiPull最大の魅力である「オプション」と「カスタマイズ」だ。シーイーシーは、現場ごとに異なる運用をヒアリングした上で、基本パッケージとオプションの組み合わせや、ときにはカスタマイズ開発との組み合わせを提案し、顧客とともに省人化・効率化の方針を決定することで、根本的な課題解決を実現する。

▲LogiPullのオプション機能の一例(トラックスケールの連携事例)

三菱電機ロジスティクスの導入事例を見てみよう。

メーカーの先進物流拠点に選ばれる理由

三菱電機ロジスティクスは三菱電機グループの物流会社だ。2021年8月に完成した広畑グローバルロジスティクスセンター(兵庫県姫路市、以下広畑GLC)では、車のエンジンルーム等に装備する自動車電装品を取り扱っている。

広畑GLCが建設された理由は、”製品増産への対応”と”拠点集約”の2つだ。当時、三菱電機姫路製作所広畑工場を中心に、部品調達や完成品出荷の機能を有する物流拠点が近隣に7つ存在したが、「増産へ対応するためには、さらに外部倉庫を約20拠点(400坪クラス)増やさなければならないという試算でした」と大橋氏は振り返る。非効率で複雑な物流体制と、これに伴う横持ち費用などのコスト増を懸念した三菱電機グループは、拠点の集約と、最新マテハン機器の導入による自動化・省人化のフラッグシップモデルとして広畑GLCの建設を決めた。

▲広畑グローバルロジスティクスセンター(出所:三菱電機ロジスティクス)

しかしこれだけの拠点を集約するとなると、一日に入退場するトラックは平均90台、最大300台が想定された。人の力に頼った対応では、近隣道路での車両待機問題は避けられない。大橋氏は「LogiPullを導入していなければ広畑GLCは破綻していた」と評価する。

さらに、広畑GLCでは輸出製品も取り扱うため、セキュリティーの担保が必須であった。ここでLogiPullならではの「カスタマイズ力」が発揮される。オプションでトラックの入退場ゲートを設置し、カスタマイズでドライバー認証システムと連携したのだ。

入退場ゲートの導入検討時、他社からはトラックの認証方法としてETCの利用が提案されたが、出入りするトラックの2割がETC未搭載という実情だったため、シーイーシーから提案されたカメラによる車番認証を採用。加えて、ドライバー照合用のICカードを三菱電機ロジスティクス側で事前に発行し、ゲート通過時にICカードをタッチしてもらうことで、車両とドライバーのダブルチェックという高度なセキュリティを実現したのだ。

▲広畑GLCのニーズに基づいて構築したトラック入退システム

「トラック予約受付システムの導入から入退場ゲートの設置、ドライバー認証システムとの連携まで、シーイーシーさん一社でカバーしてくれたことで、拠点運営上の要望がスムーズに通っていった。ワンクッション別会社を挟むと難しいだろうと思う」と大橋氏は語る。

シーイーシーのサービスへの想い

そもそもITシステム企業であるはずのシーイーシー。顧客のニーズを満たすため、入退場ゲートの設置工事等に対応できる工事免許も保有しているという。ここまでカスタマイズできてしまうシステムベンダーは競合他社と比較しても、ほかにはない。

もちろんカスタマイズはゲートやカメラのみに留まらず、納品書の画像読み取り、タブレットでの構内地図表示、トラックスケール(車両重量計)との連携、産業廃棄物マニフェスト(管理票)回収ポストの設置と多岐にわたる。課題や要望があれば、個別開発や工事を厭わず対応していくスタイルだ。

▲シーイーシーの今村純氏

シーイーシーの今村純氏に「なぜそこまで踏み込んだ開発をするのか」尋ねてみた。「パッケージにしないといけないという社内の声もあるのですが、根本的な解決を望むお客様の要望を満たしたいと思い、ついつい開発でカスタマイズしてしまいます。基本的に断りません。アイデアマンのお客様ですと、どんどんいい方向に進みます」

導入にあたっては運用のヒアリングに注力し、相談開始から実稼働まで3か月から長くて半年かかるという。導入後に課題を見つければ、2次開発も可能であり、とことん顧客ごとの運用に向き合う姿勢がうかがえた。

LogiPullの費用対効果が高いロジック

LogiPullを他社サービスと単純比較すると、導入のハードルが高いと感じる人もいるかもしれない。しかし三菱電機ロジスティクスの大橋氏によると「2、3年の内に投資コストを回収できる見込みで、実際にはもう少し早まるだろう」という。一連のシステムの導入当日こそ、ドライバーの対応に人的コストを割いたが、翌日以降は問い合わせが激減し、想定通りの省人化・コスト削減につながっているためだ。

▲シーイーシーの西山充氏

LogiPullは、オプションやカスタマイズを一時費用とし、基本機能の月額利用料を低く抑えているため、「オプション費用を月額利用料に上乗せする料金体系と比べ、長期的なコスト削減効果が大きい」(シーイーシー・西山氏)という。

構想段階でコスト削減効果を試算し、本気で効率化に向き合えれば、費用対効果は高いといえるだろう。シーイーシーの西山充氏は「お客様ごとに独自のサーバーを組んでいるため、オーダーメイドのカスタマイズができる。基幹システムとの連携も可能です。運用に沿わないとコスト削減効果も出せず、効果の無いシステム導入では意味がない」と力強く語っていた。

本気でサプライチェーン改革に取り組むならCECをパートナーに

ロボットによる物流倉庫の自動化や、あらゆる物流情報がつながるフィジカルインターネットの時代がすぐそばまで来ている。シーイーシーは既にAGVの連携機能を発表。WMSやWCSと連携するWES(倉庫実行管理システム)も視野に入れている。

▲AGVの連携イメージ

先の三菱電機ロジスティクスも今後の課題として、荷役現場・事務所オペレーションの自動化を挙げた。「自社の庫内業務システムと何を連携させれば、さらなる省人化につながるか」を検討中で、二次開発にも意欲を示す。

今、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むのであれば、長期的な目線と短期的な目線、どちらが会社のためになるか考えてみて欲しい。もしあなたが拠点運営の効率化に真剣に向き合い、物流改革に本気で取り組もうと考えるのであれば、その展望をシーイーシーに話してみると良いだろう。小手先のデジタル化ではない、物流DXの本丸が見えてくるはずだ。

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