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日本GLPの物流支援サービス「GLPコンシェルジュ」[後編]座談会

物流サービス支援、それがコンシェルジュの役割だ

2022年5月10日 (火)

話題日本GLP(東京都港区)が物流企業向けに提供しているサービス「GLPコンシェルジュ」は、物流業務にかかわる様々な悩みや課題を解決に導く取り組みだ。その仕組みが機能するために欠かせないのが、日本GLPと入居企業を含むパートナー企業の“信頼関係”に裏付けられた高密度な情報共有だ。日本GLPの物流施設オペレーションの強みが凝縮されているのは、まさにそこだ。

>>(前編)入居企業の悩みを「人間力」とネットワークで解決へ

物流施設展開における新境地を開拓する日本GLPが目指す、各企業とのパートナーシップのあり方とは。入居企業はそのメリットをどう業務品質の向上につなげようとしているのか。ここでは、日本GLPのGLPコンシェルジュ推進リーダーと入居企業の代表者による座談会を設定。GLPコンシェルジュの強みと入居企業のビジネス展開にもたらすメリット、さらに今後の展望について語り合った。(構成:編集部・清水直樹)

GLPコンシェルジュは「物流業界の応援団」だ

座談会には、日本GLPでGLPコンシェルジュの推進リーダーを担う飯田一樹・営業開発部マネージャー、日本GLPが展開する大規模多機能型物流施設「GLP ALFALINK(アルファリンク)流山2」(千葉県流山市)に入居するミクスチャー(同市)の原田剛・代表取締役と、神明ロジスティクス(神戸市中央区)の村田英俊・物流本部関東流通センター長の計3人が参加。GLPコンシェルジュをめぐる課題解決や信頼感の醸成、さらには相互のビジネスメリットについて熱く語りあう機会となった。

▲座談会に参加した、神明ロジスティクス物流本部関東流通センター長の村田英俊氏(左)、日本GLP営業開発部マネージャーの飯田一樹氏(中央)、ミクスチャー代表取締役の原田剛氏

飯田 GLPコンシェルジュは、2021年4月の本格展開からちょうど1年が経過しました。物流施設に特化したデベロッパーということもあり、「倉庫を借りたい」「倉庫を貸したい」といった相談が全体の7割を占めます。しかし、入居企業の皆様から寄せられる相談内容は、ことしに入って変化してきていると感じます。

原田 私も倉庫移転についてGLPコンシェルジュに相談することで、課題を解決できた経験があります。最近はどんな相談が増えているのですか。

飯田 「中古ネステナーを探している」「新しいマテリアルハンドリング機器を導入したい」など物流関連設備に関する相談、さらには「夜勤対応の人材を採用したい」など雇用に関する相談を受ける機会も増えました。GLPコンシェルジュの取り組みが、着実に入居企業に認知されてきていると実感します。

村田 日本GLPの提案力の高さも、相談の幅を広げる力になっているのではないですか。

飯田 GLPコンシェルジュのサービス運営力を高めるためには、入居企業に寄り添い「かゆい所に手が届く」提案ができるかどうかがカギになります。こうした提案力の源泉になるのは、倉庫・輸配送サービスや、資機材・システムを提供するパートナー企業との連携です。豊富なリソースをフル活用して、物流の様々な課題の解決につなげる。GLPコンシェルジュはまさに、「物流業界の応援団」を目指して、サービスの拡充に取り組んでいます。

相談してわかった課題解決の秘けつ、それは「迅速さ」

原田 ミクスチャーがGLP ALFALINK流山で倉庫を開設したのは、21年2月のことです。驚いたのは、日本GLPの担当者と我々との間で、入居後にどんどん親密さが深まったことです。「いちど賃貸借契約を結んでしまえば、それで終わり」というのが、これまでの倉庫会社との付き合いでしたから。

飯田 ところが、その後に悩ましい問題が起きたんですよね。

原田 そうなんです。別々になっていた拠点を一か所にまとめる方針を決めたことで、ここ流山以外の場所に借りていた倉庫を急きょ退去することになったのです。商品在庫管理や輸配送拠点として倉庫は欠かせないものです。すぐに見つかるあてもなく悩んでいることを、少し前の日本GLPとの打ち合わせで耳にしていたGLPコンシェルジュに相談したところ、即座に神明ロジスティクスの村田さんを紹介いただいたのです。

村田 日本GLPの担当者から、ミクスチャーに提供できるスペースについて相談を受けました。突然の話でさぞ困っているだろうと思いましたし、日本GLPの担当者の提案も面積から契約期日までかなり詳細でした。幸いにも賃貸できるスペースがあったために提案を受けることができたのですが、驚いたのは日本GLPの動きの速さです。ミクスチャーの案件は我々にとってもビジネスにつながる話であり、まさに「ウィンウィン」の関係を築けたわけです。これがGLPコンシェルジュのもたらす“信頼感”なのでしょう。

飯田 寄せられた悩みを解決するために欠かせない要素、それはスピーディーな対応力だと考えています。なぜならば、もしも神明ロジスティクスで空きスペースをミクスチャーに提供できなかった場合は、すぐに同じ棟の別のスペースを探す必要があるからです。同じGLP ALFALINK流山、さらにはGLP三郷など近隣施設へと対象を広げていかねばなりません。ここで迅速に動かなければ、次の手を打つことができず物流に携わる方々の困りごとをより深刻にすることになりかねません。我々は物流施設の運営者として、「物流を止める」ことは許されないのです。

原田 我々もGLPコンシェルジュを介して、神明ロジスティクスとの関係も構築することができました。こうした関係は、ビジネスをさらに展開するうえで非常に強い力となります。GLPコンシェルジュの強みだと思います。

入居企業との「橋渡し」役を可能にする「情報収集力」と「共有できる土壌」

村田 GLPコンシェルジュは、いわば日本GLPと我々を含むパートナー企業との「橋渡し」の役割を果たすプラットフォームであると考えています。迅速なのはもちろんですが、GLPコンシェルジュの取り組みを信頼できるポイントは「情報収集能力の高さ」と「入居企業への共有」ではないでしょうか。我々のビジネスの現状を非常によく把握している。さらに状況に応じてパートナー企業と共有できる土壌があることです。これは一朝一夕で生まれる取り組みではありません。日本GLPの文化なのでしょうね。

飯田 GLPコンシェルジュの取り組みへの理解に感謝しています。とはいえ、我々はGLPコンシェルジで提供できるサービスの精度をさらに高めていく必要があると考えています。物流サービスへの社会のニーズは日々高度化しています。物流企業もそれに応えていく必要があり、それを支援するのは我々の重要な任務です。皆様、GLPコンシェルジュについて、是非忌憚のないご意見・ご要望をお聞かせください。

原田 私が倉庫スペース確保について支援を受けた経験から、「ある企業がこういうことで困っている」という情報を企業間で共有できる「瓦版」があればいいですね。「ウチならその課題に対応できます」との意思表示ができるからです。悩みを共有する仕組みができれば、近くにいる我々が協力できる可能性も生まれてきます。

村田 倉庫ビジネスに携わる我々は、車両の効率的な運用が今後、ますます重要になると考えています。働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が設定されることで生じる「物流の2024年問題」に象徴されるように、車両自体を非常に確保しにくい時代になっていくことは間違いありません。そこで、車両の空きスペースを活用した共同輸配送をマッチングする仕組みがGLPコンシェルジュに組み込まれることになれば、入居企業の間の連携がさらに深まるだけでなく、互いに効率的な輸配送ビジネスを創出できることになります。

飯田 興味深いアイデアをいただきました。GLPコンシェルジュは、相談を受けた課題を全て解決することは難しいかもしれません。とはいえ、解決のお手伝いの努力を惜しむことはありません。なぜなら、GLPコンシェルジュはお客様の悩みありきの取り組みだからです。共同での輸配送や人材活用など、皆様の物流現場の課題や気づきを積極的に抽出していくことで、サービスをより良いものにしていき、物流業界の発展に少しでも貢献する。これが我々の役割だと考えています。そのためにも、ざっくばらんに相談し合える環境づくりにさらに注力していきます。