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川崎重工、水素燃料の舶用水素ボイラーを設計

2022年5月31日 (火)

▲舶用水素ボイラーの完成イメージ(出所:川崎重工業)

荷主川崎重工業は31日、世界で初めて水素を燃料とする舶用水素ボイラーの基本設計を完了したと発表した。LNG(液化天然ガス)運搬船の建造で培った舶用ボイラーの技術やノウハウ、水素燃焼技術のシナジーを活用して開発に至った。

実用化されている小型の陸用水素ボイラーと異なり、波の揺動や設置スペースの制限など船舶特有の条件に対応した設計とした。主な特徴として、高温度で早く燃焼する水素の特性を考えた火炉設計▽広い負荷範囲の運転による航行速度変更などの負荷変化への適応▽水素ガス専燃や低硫黄燃料油専燃など船舶の状況に応じた燃料での運用パターンへの対応▽水素燃焼バーナーの焼損や逆火を防止した安定・安全運用を可能にする開発――などを挙げている。

ボイラーは蒸気タービンプラントや燃料供給システムと組み合わせ、二元燃料推進システムとして大型液化水素運搬船に搭載。航海中に液化水素を積載した貨物タンクから自然発生した水素ガスをボイラーに供給し、推進燃料として活用する。

今後は詳細な設計・製作段階へ入り、3年後から4年後の実用化を計画する大型液化水素運搬船に搭載するなどして実証を進めていく。水素を「はこぶ」「つかう」という受給の両面を担う水素ボイラーの開発を弾みにし、水素サプライチェーンにおける技術開発を推進していく。