ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

JR貨物、脱線事故にかかる改善措置を国交省に報告

2022年6月1日 (水)

行政・団体日本貨物鉄道(JR貨物)は5月31日、広島市安芸区のJR山陽線の瀬野駅・八本松駅間で2021年12月28日夜に発生した貨物列車の脱線事故にかかる改善措置を国土交通省に報告したと発表した。今回の事故を誘発した要因に挙げられる「偏積」の防止に向けた仕組みづくりのほか、列車防護や転動防止の取り扱いを確実に行う取り組みを進めるとした。

改善措置は、「利用運送事業者が偏積でないことを保証する仕組みづくり」「偏積でないことをJR貨物が確認する仕組みづくり」「列車防護および転動防止の取り扱いの確実な実施」の3項目について報告した。

(イメージ)

偏積でないことを保証する仕組みづくりについては、貨物運送約款のことし4月の改正による荷送人責任の明確化、偏積防止の取り組みにかかる利用運送事業者との協定などにおける明確化、利用運送事業者に対する「コンテナへの積付けガイドライン」に基づく偏積防止教育の実施、偏積のないことを保証しないと託送申込みができないシステムへの改修――の4点を示した。

偏積でないことをJR貨物が確認する仕組みづくりでは、積込者による偏積をなくす業務改善サイクルの仕組みの構築、偏積が認められた際の再発防止に向けた業務改善手順の見直し、ハード対策の強化によるコンテナ測定箇所の拡充――の3点。さらに列車防護および転動防止の取り扱いの確実な実施については、実際の現象を想定した教育・訓練の実施とより効果的な教育プログラムの検討、運行管理にかかるマニュアル変更について運行管理の受委託を行う各鉄道事業者間で変更を事前に通知するしくみの構築、列車防護に関わる規程改正の検討――の3点をそれぞれ明記した。

脱線事故は、瀬野駅・八本松駅間の上り線で発生。広島貨物ターミナル駅(広島市南区)発東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)行き貨物列車で、コンテナ貨車23両とけん引機関車1両、後押し機関車1両の25両編成だった。運転士が非常ブレーキの動作で停止したため車両を確認したところ、機関車を含め前から12両目の貨車1両の進行方向前側の2軸4輪が左側に脱線しているのを発見した。脱線によるけが人はなかった。

国交省は脱線事故を受けて、JR貨物に対してことし1月24日から3日間、保安監査を実施。また列車脱線時の指令における対応状況を確認するため、JR西日本に対しても、1月25日に保安監査を実施した。その結果、改善を要する事項が認められたことから、両社に対して改善措置を講じるよう指示していた。