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シンテックホズミ、「SHOWCASE」で物流DX像訴求

2022年6月20日 (月)

話題シンテックホズミ(愛知県みよし市)は20日、6月21日から4日間開催する「2022 SHINTEC HOZUMI SHOWCASE Summer」(2022シンテックホズミ・ショーケース・サマー)の出展内容をメディアに公開した。

▲製造・物流現場の業務効率化・最適化を支援するロボットソリューションを展示

製造工程だけでなく物流現場の業務効率化・最適化を支援するため、ロボット技術を中心に各種システムを組み合わせたソリューション(解決策)を提案。生産効率の向上から労務環境の改善まで、現場で発生している幅広い問題への対応策のヒントを得る好機となりそうだ。

シンテックホズミは4回目となる今回のSHOWCASEを、「今日明日から使える」「お客様に寄り添う」実用的な解決策をロボティクスとデジタルを活用して導く取り組みを提示する機会と位置付ける。「USER FRIENDLY & PRACTICAL」(ユーザー・フレンドリー・アンド・プラクティカル)とのスローガンには、製造や物流などの現場でまさに発生している問題の速やかな解決につなげたいとの思いも込めている。

シンテックホズミが提案する、作業現場の将来イメージ

ピッキングロボットの画面に示された通りに、作業者が棚に並んでいる部品を箱に収めていく。これらの部品は、次の工程で他の部品とともに組み立てられて、一つの製品として完成していく。最後に出荷スペースに運ばれて、配送先へ向かうトラックに載せられていく――。


▲ピッキングロボットの画面に従い部品を箱に収める様子

シンテックホズミがSHOWCASEで披露する、「SH Smart Factory 2022」の一場面だ。ピッキングからシッピング(積み込み作業)までの構内物流を搬送ロボットで構成。全ての物流オペレーションは、シンテックホズミが「ヒト・モノ・情報・ロボティクスがつながるこれからのシステム」として実現を目指す「Smr Operation P/F SYSTEMz」(オペレーションプラットフォームシステムズ)が担う。

複数の搬送ロボットのルートを一括でコントロールするほか、複雑なオペレーションも直感型で簡単に操作できる機能性の高さが特徴。「稼働状況の変化を常に『見える化』できることで、現場業務の最適化を支援できるのが強み」(シンテックホズミ)だ。

取り扱う部品や荷物の量・種類の変化をリアルタイムで把握。工程における作業の順序の入れ替えや工程の変更にフレキシブルに対応できる機能は、日々変化する製造・物流現場の業務改善を支援するロボットやシステムには不可欠な要素だ。SHOWCASEにおけるスマートファクトリーの提案は、人とロボットの「共存」を意識したものであるところに、その意義がある。

現場における個人の「業務量」も可視化、あらゆるデータ駆使して最適化を提示

見える化の威力はそれだけではない。シンテックホズミのシステム「オペレーション・プラットフォーム・システムズ」で、今回のSHOWCASEで初公開するのが、集荷実績数量と作業者数のデータを適時に分析することで、エリアごとの担当者の業務量などを見える化する取り組みだ。

(イメージ)

倉庫におけるピッキングの頻度など、あらゆる数値データを駆使して作業者やモノの「動き」を数値化して分析することで、効率的な業務運営はもちろん、就業者の労務管理にいたるまで最適化につなげることができる。

「現場における業務効率化策として、レイアウトを含めたあらゆる対策のヒントを得ることができる。最適な従業員や設備の配置、さらには稼働するロボットの数や役割など、様々な対応策を考えることができる材料を提供できるのが強み」(シンテックホズミ)という。

ロボットの「可能性」訴求

今回のSHOWCASEは、ロボットの「可能性」を提示する意味合いも強い。それを象徴するのが、ロボットの移動経路を事前に判断して動く「Easy to Move」(イージー・トゥ・ムーブ)だ。従来のロボットは障害物を感知して避けることで最適なルートを導き出していた。

Easy to Moveは、事前に使用者が端末で設定すれば、ロボットが事前に「理解」して最適ルートを描いで走行するものだ。例えば、最短ルートに今までなかった机が置かれることになった場合は、それを事前に設定していくことで、ロボットが自動的に避けて新たなルートを導く。

ほかにも、ロボットが突然ストップした場合などに端末で解決法を把握できる「リカバリーナビ」も紹介。使用者がその場でロボットの再稼働など対策ができる利便性の高さが強みだ。

自動車産業で培った技術力で物流効率化、シンテックホズミの挑戦の本気度が伝わる「SHOWCASE」

トヨタ自動車が筆頭株主であるシンテックホズミが、自動車産業以外の領域への事業拡大を推進している。その方向性の一つが、物流だ。無人搬送ロボットや各種自動化ツールを活用しながら、市場の拡大が続く物流業界への訴求を強めている。シンテックホズミのこうした動きは、自動車産業で培われた技術力は、あらゆる産業にも高度に対応できる素地があるという事実を示しているとは言えないだろうか。

物流業界は、いわばあらゆる産業を「支える」ビジネスとして認識されてきた歴史がある。事実として、製造業の部材調達や製品輸送の手段として存在感を示してきた一方で、それ自体に新たな価値を見出す意識は、なかなか育たなかったのが実態だろう。

ところが、東日本大震災などの自然災害、さらには新型コロナウイルス感染拡大といった、生活基盤そのものを揺るがす出来事を経験したことで、物流の位置付けが劇的に変化してきている。産業を支える機能の一つでしかなかった物流に、社会に不可欠なインフラという定義が与えられたのだ。もっとも、本来はこうした機能がもっと早い段階で認識されてしかるべきだったのだろうが。

その結果として、物流というビジネスの問題点が浮き彫りになるという副産物も生まれた。一方で、EC(電子商取引)サービスの急速な普及などによる物流サービスへの期待の高まりは、こうした問題解決を図る新ビジネスを呼び込むこととなった。社会インフラである物流の効率化に、あらゆる産業が注目し始めたのだ。その代表例な現象が物流DX(デジタルトランスフォーメーション)であり、そのプレーヤーとして21年初頭に名乗りを上げたのがシンテックホズミだったというわけだ。

こうした動きは、旧態依然としていた物流業界の活性化をもたらすだけでなく、新しい物流のあり方を提示しているという意味で、強く歓迎すべき動きだ。そこで今回のシンテックホズミのSHOWCASEだ。物流DXの最先端の姿に触れることができる絶好の機会として、注目してほしいところだ。(編集部・清水直樹)