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帆船型ドローンで運送、山形県の離島で実証調査

2022年6月21日 (火)

▲実証調査で使用する自動帆走船(出所:エバーブルーテクノロジーズ)

国内自動帆走船の開発を手がけるエバーブルーテクノロジーズ(東京都調布市)は21日、自動帆走船(帆船型ドローン)を使い、離島と本土の間で物資や廃棄物を輸送する事業構想について、実証調査を始めたと発表した。山形県酒田市や同市内の団体、NTTグループと協力しており、国土交通省の「2022年度スマートアイランド推進実証調査業務」にも採択された。

発表によると、エバーブルーが開発した自動操船化ユニットと転覆しにくい安全な小型ヨットを組み合わせ、操船者なしで自動帆走船を動かし、運搬などに使う構想だ。実証調査はことし4月に、酒田市とその離島である飛島の間で始めた。

酒田市の本土側から飛島までの約40キロを帆走させ、物資や島内のごみなどを無人かつ自律帆走で運ぶ。天候不順への対応能力や、定期船の補完効果、新たな海上物資輸送手段としての可能性を検証する。海上・海中の映像撮影とAI(人工知能)解析も行い、水産資源保護やコンテンツ配信への活用可能性も確かめる。

飛島では、島外からの物流は唯一の運搬手段である定期船に委ねられている。通常期は1日1便で、天候不純で欠航も多い。また、海岸の「漂流ごみ」の回収と運搬も課題となっている。

実証調査には、エバーブルーと酒田市のほか、同市内の「とびしま未来協議会」と、NTTデータ経営研究所、NTT東日本山形支店が参画。「飛島スマートアイランド推進協議会」というコンソーシアムを形成し、国交省の調査業務の受け皿となった。同調査業務は、離島地域が抱える課題解決のためICTなどの新技術を離島地域に実装することを目的としており、離島がある地方公共団体と新技術を持つ民間企業・団体が共同で実施する。2021年度は全国9か所で実施された。

エバーブルーは、「風」という自然エネルギーを活用して島外からの物流サービスを実現し、人口減少や天候不順といった厳しい環境にも柔軟に対応できる社会システムを構築したいとしている。飛島では、高齢化する島社会で島民の肉体的な負担軽減を目指す。島民や宿泊客の利便性が向上して島全体の価値が向上すれば、観光客や関係人口の創出につながると見ている。