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ドローン「蒼天」が墜落事故、全国の消防が使用停止

2022年7月6日 (水)

▲小型空撮ドローン「蒼天」(出所:ACSL)

国内国産の小型空撮ドローン「蒼天(そうてん)」が今春、北九州市での消防訓練中に墜落事故を起こしていたことが、6日明らかになった。機体の不具合が原因で、全国の消防で使用停止になっている。メーカーは物流ドローンの開発も進めているが、物流用では同様の不具合はないという。

「蒼天」は産業用ドローン開発のACSL(自律制御システム研究所、東京都江戸川区)の製造。NTTドコモや新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)など官民で共同開発した国産機。

北九州市によると、ことし4月20日午後、同市若松区の市立運動公園で、消防局職員が蒼天の操縦訓練をしていたところ、15メートルの高さで操縦不能となり、草地に墜落した。「操縦ミスはなかった」(消防局警防課)という。墜落によるけが人や建物などへの被害はなかった。蒼天は火事や災害の際の情報収集用に導入していた。

メーカーのASCLが回収して原因調査と修理をしているが、ASCLは機体の不具合を認めている。「プロペラ保護材(ガード)などを搭載した状態で急上昇したり、高い所など特殊な条件下で飛ばすと飛行性能の限界を超える可能性がある」(広報担当者)。同社は全国のユーザーに不具合を通知し、注意を呼びかけている。

一方、北九州市消防局での墜落事故を受けて総務省消防局は6月16日、蒼天を使っている全国37の消防局や消防本部に対し、同機の使用見合わせを求める通知を出した。それらの消防の保有機もASCLが回収し、改善措置を実施中だ。今後、総務省がASCLから改善内容を聞き、各消防局での使用再開の是非を判断する。

蒼天は消防のほか、警察や民間企業に475機販売されている(ことし3月末時点)。

ドローンは物流分野でもすでに、宅配や事業所間、ゴルフ場などでの物品輸送に利用が始まっている。墜落事故を起こした蒼天は空撮用で、ASCLは同社製の物流ドローンについては「同様の不具合は起きておらず、運用制限はしていない」(広報担当者)としている。