ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

準天頂衛星「みちびき」で配達員の運転評価、CAC

2022年7月19日 (火)

フードシステム開発のシーエーシー(CAC、東京都中央区)は19日、人工衛星を使って配達員の自転車運転に関する諸情報をリアルタイムに取得する実証実験を行ったと発表した。フードデリバリーサービスの配達員の危険運転を解消するのが目的で、スマートフォンやブロックチェーン技術を用いて収集・保存したデータを事故防止や保険料の算出に使えるかどうか試した。

発表によると、実験は2021年9月からことし3月にかけ、東京都江戸川区の市街地で行った。まず人工衛星からの電波を受信できる受信機を配達用の自転車に搭載した。受信機は衛星と情報をやり取りし、走行中の自転車の位置情報を処理・判定して、スマートフォンからインターネット経由でブロックチェーン上にデータを送り、保存した。判定のポイントは、配達ルートの選択が適切かどうかや、スピードを出しすぎていないか、逆走などのルール違反がないかといったもの。リアルタイムで判定し、配達評価スコアにした。それを基に保険料のシミュレーションを行った。

ブロックチェーンは、情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して分散的に処理記録するデータベースの一種で、不正や改ざんに強いとされる。また、人工衛星は、準天頂衛星システム「みちびき」を使った。

▲システムの概要図(出所:CAC)

その結果、配達員が走行した位置情報を誤差1メートルの範囲内で取得でき、スコアも計測できた。デリバリー会社と保険会社の間でブロックチェーンを用いてスコアの改ざんができないことも確認した。一方、頻繫にカーブが続いたり道路幅が変化したりする複雑な環境には、十分対応できなかった。CACは実験結果を基に改良を施し、事故の低減につながるシステム開発を進めていく方針だ。

同社は今回の実験を紹介する講演も行う。9月28日14時から東京都江東区の東京ビッグサイト東6ホールで。複数の展示会を併せた「N-PLUS」というイベントの中の「SATEX」(衛星測位・位置情報展)の中で行う。

▲(左から)自転車走行の位置情報取得、リアルタイム判定、配達評価結果