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海運大手3社、そろって通期業績見通しを上方修正

2022年7月22日 (金)

(イメージ)

財務・人事海運大手3社が21日、相次いで2023年3月期の通期連結業績予想を上方修正した。前期から続く世界レベルでのサプライチェーンの混乱が今期も継続し、旺盛な貨物需要を背景とした好況が想定よりも長期化しているためだ。前期に空前の好業績を記録した海運各社は、こうした混乱に加えて一段の円安進行も追い風に、今期もその勢いを維持している。

日本郵船はことし5月9日公表の前回予想数値について、売上高を2兆3000億円から2兆5000億円に、営業利益を1870億円から2500億円に、経常利益を7600億円から1兆400億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を7200億円から9600億円に引き上げた。経常ベースでは当初の減益予想から一転、前期を上回る見通しになるとした。

商船三井はことし4月28日公表の前回予想数値について、売上高を1兆3530億円から1兆4700億円に、営業利益を460億円から700億円に、経常利益を5250億円から7100億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を5000億円から7000億円に上方修正。こちらは営業ベースで増益予想に転じた。

川崎汽船もことし5月9日好評の前回予想数値について、売上高を7800億円から8900億円に、営業利益を410億円から570億円、経常利益を4700億円から7000億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を4600億円から6900億円に上方修正。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益については一転して増益となる見通しを示した。

各社が通期業績の大幅な上方修正に踏み切った要因は、サプライチェーンの混乱や円安の進行だけではない。ドライバルク事業や製品物流などの領域でも堅調な輸送需要に支えられて予想を上回る好業績を叩き出せる見通しになったためだ。

3社が出資する持分法適用関連会社のOCEAN NETWORK EXPRESS(ONE)のコンテナ船事業が想定を上回る収支で3社の連結業績を強力に下支えするとともに、航空運送も海上輸送の混乱を受けてさらに堅調な需要を見込めるとなれば、もはや海運3社の業績に「穴」は見当たらない。

ロシアによるウクライナ侵攻の影響など先行きの不透明な要素があるものの、グローバルでの海運ビジネスへのインパクトを含めた多面的な動向を考慮しても、こうした好業績は当面続く可能性がある。