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東京レールゲートEASTが完成、総合物流に対応

2022年7月22日 (金)

拠点・施設日本貨物鉄道(JR貨物)と三井不動産は22日、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)構内で進めていたマルチテナント型物流施設「東京レールゲートEAST(イースト)」の建築工事が完了したと発表した。鉄道貨物とトラック、さらに海上・航空といった多様な輸送モードが結節する新発想の物流拠点がいよいよ始動。環境負荷低減の取り組みも含めて、次世代の物流施設のあり方を占う「試金石」にもなりそうだ。

▲東京レールゲートEAST(出所:三井不動産)

JR貨物は、東京レールゲートEASTと、2020年3月に稼働した「東京レールゲートWEST(ウエスト)」、さらにことし6月に稼働した「DPL札幌レールゲート」(札幌市白石区)を基軸として、JR貨物グループ各社の機能を結集することによりテナントへの集荷から配達、保管、荷役、梱包、流通加工までカバーする一貫した総合物流サービスの提供を可能にする基盤を整えた。

JR貨物は東京レールゲートEASTの完成を契機として、環境特性と労働生産性に優れた貨物鉄道輸送をベースとした総合物流事業を推進することで、物流生産性の向上を目指す。三井不動産は、東京レールゲートEASTで開発計画の企画立案やテナント誘致とともに、稼働後の施設の運営・管理を担う。

東京レールゲートEASTは、首都高速道路の湾岸線「大井南出入口」や羽田線「平和島出入口」、東京港国際コンテナターミナル、東京国際(羽田)空港に近接。「陸」「海」「空」の物流モードの結節点として多様なニーズに対応できる機動力の高さが最大の特徴だ。首都圏の半径20キロ圏をカバーできる立地であることから、配送拠点としての優位性も確保する。

▲周辺地図(クリックで拡大)

機能面でも、こうした多様な輸送ニーズへの対応を意識した仕様としている。事務所の天井高は全フロアで3.5メートルを確保し開放的なオフィス空間を実現。倉庫の天井高は5.5メートル、シャッター下でも4.0メートル、車路では4.5メートルに設定しており、荷物の保管効率に配慮している。さらに、物流ニーズのトレンドに応じて1階の北側区画は冷蔵庫と冷凍庫を設置できるエリアを設けるほか、北側バースは12フィートコンテナ用フォークリフトが乗り入れられる構造とした。

施設利用者用のカフェテリアやベンダー室を設置するほか、外部にはドライバー用休憩室を設けるなど、快適な職場環境の創出も意識した。


▲(左から)エントランス、カフェテラス

BCP(事業継続計画)対応では、接する路面より高い地盤面に建設。地震発生時には、地盤との間に設けられた免震装置が作用して建物内の揺れを軽減することにより、被害を最小限に抑えることが可能な仕様とした。停電発生時には、非常用発電設備の機能で倉庫・事務所等の一部に電気を72時間供給し、事業継続を支援。災害時の断水に備えて、プライベートな空間を確保した衛生的なマンホールトイレも備える。

環境対応については、屋上に設置された太陽光発電設備で共用部電力を賄うほか、不在時には減光し消費電力量を低減。庫内の熱負荷を軽減するための屋上緑化や、雨水を利用した植栽かん水設備、さらにEV(電気自動車)へのエネルギーシフトを見据えた電気自動車充電スタンドやシェアサイクル用サイクルポートなどさまざまな環境配慮型設備を導入する。


▲(左から)非常用発電機、非常用衛生設備

■東京レールゲートEASTの概要
所在地:東京都品川区八潮3-1-3(東京貨物ターミナル駅構内)
敷地面積:7万6493平方メートル
延床面積:17万4405平方メートル賃貸床面積:14万7014.49平方メートル
構造:鉄骨造(一部コンクリート充填鋼管構造)、地上5階建て
入居開始:2022年7月15日