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ICリーダー型が好調、東海電子のアルコール検知器

2022年8月2日 (火)

(出所:東海電子)

調査・データ運転者向けアルコール検知器メーカーの東海電子(静岡県富士市)はこのほど、2022年上半期(1-6月)の自社の検知器出荷状況を公表した。ICリーダー内蔵型の売れ行きが良く、購入者別では白ナンバー事業者が緑ナンバー事業者を上回った。

これは一メーカーの出荷実績ではあるが、検知器市場での有力メーカーだけに、国内需要のトレンドを示す参考値と言えそうだ。ことし前半の検知器市場を巡っては、白ナンバー事業者へのアルコールチェック義務化(当初は10月に予定、7月に警察庁が延期を公表)が迫り、予想を超える注文がメーカー各社に舞い込んだ。一方、世界的な半導体不足で製造が間に合わなくなり、欠品が生じるという明暗両方の動きがあった。東海電子の公表数値からも、その影響が見て取れる。

発表によると、まず、6機種ある同社製品は大きく「企業向け記録型」と「個人向けハンディタイプ」に分かれるが、半年間の出荷状況では、企業向け記録型が94%(4422台)と、個人向けハンディタイプの6%(291台)を圧倒した。そもそも同社では法人需要が大半を占め、製品構成も6機種のうち5機種が企業向け記録型であることが、素直に反映された結果と言える。加えてハンディタイプは一時期欠品を強いられ、また競合他社が多く価格競争にさらされたこともあって低調に推移した。

半導体不足の影響も

注目したいのは、企業向け記録型5機種の出荷数だ。機能や価格帯の差異による需要傾向と半導体不足による供給への影響が現れている。

最も売れたのが、ICリーダー内蔵型で2151台を出荷した。白ナンバー事業者を狙ったエントリーモデルとして、価格を中間的な15万円前後に設定した。IC社員証に対応していることも、好評を得た要因という。DX(デジタルトランスフォーメーション)との相性の良いパソコン利用タイプでもある。

(イメージ)

次に売れたのがスマートフォン接続型で1178台。8万円以下と価格は手頃。もっと売れても良かったが、想定より少なかったという。「ハンディタイプや低価格帯製品との差別化が難しくなっている」と同社は要因を分析している。

その次はPC記録型で459台を出荷した。30万〜40万円の高額・上位機種の割には、まずまずの売れ行きだった。

デジタコ接続用は、名前通りデジタルタコグラフやドライブレコーダーなどの車載器に接続して使うタイプ。452台といまひとつ伸び悩んだ。この製品も一時期、欠品により供給が不安定となったうえ、他社との競合にさらされた。

最後は車載型アルコール・インターロック装置で、飲酒しているとエンジンがかからないタイプ。182台にとどまった。国内ではまだ珍しい製品だが、これも欠品による供給不安が響いた。

白ナンバー事業者の購入、「緑」上回る

購入者別で見ると、6か月通して白ナンバー事業者が64%、緑ナンバー事業者が36%だった。月次の出荷台数で見ても、毎月、白ナンバー事業者が52〜73%と過半数を占め、2020年と比べると比率が逆転した。規制強化を前にした駆け込み需要の盛り上がりを示している。建設、リサイクル、病院、電気工事、水道工事、自動車整備、自動車販売、自治体などの白ナンバー事業者から多くの注文を受けたという。