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日野の小型用でも不正、国内向け大半出荷停止

2022年8月22日 (月)

▲オンライン記者会見で、新たな不正について謝罪する日野自動車の小木曽聡社長

荷主日野自動車の国内向けトラック・バス用エンジンの認証不正問題で、同社は22日、小型トラック用エンジンでも国の排出ガス試験に関する不正行為が判明したと発表した。国土交通省が8月3日から行っている同社への立ち入り調査の結果、判明した。これまで問題となっていた大中型トラックに加えて小型トラックにも不正が及んだことで、出荷停止の対象は日野の国内向けのほとんどの車両に広がり、車両生産は6割減ることとなった。

同社が不正について発表するのは、ことし3月4日、8月2日続いて3回目。今回の不正発覚は、外部識者による調査特別委員会の調査でも見つからなかったもので、これまでの調査の信用性が傷ついただけでなく、同社の隠ぺい体質の根深さを示すものとなった。

同社の発表によると、新たな不正が見つかったのは、小型トラック「日野デュトロ」に搭載されている小型エンジン「N04(HC-SCR)/2019年モデル」。国交省の排出ガス認証申請に際し、劣化耐久試験での排ガス測定を2回以上行う必要があるところ、測定回数が不足していた。劣化補正値の算出の際にも、測定回数が不足していた測定データを用いていた。

国交省からの指摘を受け、これまで出荷停止の対象外だった日野デュトロの出荷を22日から停止した。これにより、日野の出荷停止の規模は、他メーカーからエンジン供給を受けている一部の国内向けトラックと、輸出向け車両を除き、日野の生産台数10万5000台の6割に当たる5万8000台に上ることになる。

また、出荷停止まで至らない車両や過去に出荷した車両を含めた一連の不正の関係車両は64万台となった。3月時点で最初に12万台が判明、8月2日時点で57万台に修正していたが、さらに7万台増えた。

日野は、同エンジンの排ガス性能自体に問題があった可能性は認められていないとしているが、その点も国交省の確認を仰ぐという。

日野の小木曽聡社長はオンラインで緊急記者会見し、改めて関係者に謝罪した。「顧客に信頼していただく土俵に立てていない。今後、メーカーとしての基本を徹底したい」と述べた。調査委が今回の不正を見つけられなかった点については、同社からの調査委託のやり方に問題があったためで調査委に落ち度はないと説明したが、大規模な調査をした直後に新たな不正が見つかったことへのショックは隠せず、「大変大きな問題だと認識している」と苦渋の表情を浮かべた。自身を含む経営陣などの責任の取り方については、これまで通り、改めて明らかにするとした。

▲記者会見する日野自動車の小木曽社長(左)と役員たち

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