ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ドローンの衝突回避に安全基準設定へ、国交省方針

2022年9月5日 (月)

(イメージ)

行政・団体国土交通省は、ドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)がことし12月に解禁される見通しとなったことを受け、ドローン同士や他の航空機との衝突を防ぐため、空中衝突の回避機能に安全基準を設ける方針を固めた。将来、同機能の装備を義務化することも視野に入れている。基準策定に向けた実証実験などを行うため、2023年度予算の概算要求に関連経費を計上した。

同省は23年度予算の概算要求に、「空飛ぶクルマ・ドローンの安全対策」関連費として、前年度比44.4%増の1億3000万円を計上した(非公共事業分)。この予算の一部を使って、すでに開発済みの衝突回避機能付きドローンの飛行試験を行う。ドローン同士が接近したり、ヘリコプターなど他の航空機が近づいたりといった、いくつかの条件を設定し、機能が有効に作用するかを試す。その上で、24年度以降に機能・性能の安全基準や審査手法を策定する方針だ。

衝突回避は目視外飛行の極めて重要な機能。飛行中に接近する物体を察知し、距離をつかみ、自律的に避けるといった高度な性能が要求される。「世界的にも確立されていない技術であり、国際基準もまだない」(航空機安全課)といい、日本の安全基準が国際基準となる可能性もある。

同省はこれとは別に、23年度に“空の交通整理”と呼ばれる無人航空機の運航管理システム(UTMS=ユナイテッド・トラフィック・マネジメント・システム)の整備も急ぐ。諸外国のUTMSの導入・実証状況を調査し、UTMSが備えるべき要件を整理する。

また、ドローンに関する各種手続きをオンラインで行う「ドローン情報基盤システム2.0」(DIPS2.0)にも、レベル4飛行に合わせた機能を追加する方針だ。飛行計画の事前届け出時にリスク判定を行い、必要な注意喚起を行う機能を追加する。

レベル4は改正航空法の施行によって、ことし12月に解禁される予定。機体認証と操縦ライセンスを受けた利用者は、国土交通相の許可・承認を得れば、有人地帯(第三者の上空)で、補助者を配置しない目視外飛行が行えるようになる。それに向けて、現在、物流企業やドローン開発会社が衝突回避などの実証試験を各地で行っている。これまで過疎地などに限られてきた物流ドローンの活用が都市部に広がることになり、安全確保の観点から環境整備が急務となっている。

国交省の23年度予算概算要求6.9兆円、DXを推進