ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

車両搭載の高圧水素タンク、国交省が安全基準検討

2022年9月29日 (木)

行政・団体次世代自動車として期待される燃料電池車と水素エンジン車について、国土交通省は衝突時の安全基準を検討する方針だ。トラックなどでの水素燃料の利用促進を目指しており、重要部品である高圧水素タンクの安全性を高め、万が一、衝突・横転しても火災を防ぐ手法を探る。

燃料電池車と水素エンジン車は電気自動車(EV)と並び、CO2を排出しない脱炭素化の有望車種だ。ともに水素を燃料としている。トラックの場合、長距離や重量物の輸送に使う中大型車には、バッテリーの能力や持続時間が限られるEVよりも、パワーがあり航続距離が長い、これら水素エネルギー車が適しているとされる。

ただ、搭載する高圧水素タンクについて、衝突・横転時の安全確保がネックとなっている。また、高圧水素タンクは比較的大きく、それが荷物スペースを奪ってしまう難点もある。設置場所を荷台の上とするなら安全性は向上するが積載性が損なわれ、床下にすればその逆となる。

(イメージ)

国土交通省は、側面衝突や横転の衝撃があった場合のタンクと関連部品の安全性を検証し、性能評価の手法を検討する。搭載タンクの数や設置位置の違いが、安全性にどのように影響するかも調べる。床下に設置する場合のタンクのガード方法も検討する。それらをもとに試験方法を開発したい考えだ。2023年度予算の概算要求に新規経費として9100万円を盛り込んでいる。

自動車燃料用の高圧水素タンクを巡っては、法改正により23年11月をめどに経済産業省から国交省に所管が移る。道路運送車両法に基づく型式指定や検査の対象となり、安全基準の整備も国交省が担う。

こうした検討作業の延長には、車両用の高圧水素タンクを巡る国際基準を日本が提案する狙いもある。大型トラックへの水素エネルギー活用は世界的に待望されているが、国際的な安全基準は未整備となっている。国交省は「国際基準の策定を日本が主導することが、日本の成長戦略の観点からも極めて重要」としている。

国交省の23年度予算概算要求6.9兆円、DXを推進