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山九が下請け代金を現金払いに、資金繰り支援で

2022年9月29日 (木)

(イメージ)

産業・一般物流大手の山九は28日、資本金3億円以下の下請け先に対する支払い方法を、従来の手形から現金払いに切り替えると発表した。そのための流動資金120億円をシンジケーションローンの形で大手金融機関から30日に借り入れる。新型コロナウイルス禍で不安定になっている中小企業の資金繰りを支援するもので、地域社会への貢献性が評価されたことによる、日本初の「ソーシャルローン」案件となる。

発表によると、シンジケーションローンはみずほ銀行がアレンジャーとなり、三菱UFJや三井住友など7銀行と、明治安田など生命保険2社が貸付人となる。借入期間は3年。この資金を使って山九は10月以降、下請けへの支払いで手形やファクタリングを廃止し、月末締め翌月末現金払いにする。

手形決済だと数か月後になるため、中小企業に早期に現金が渡り、手形割引の手数料も不要になる。山九は、こうした取り組みで下請け企業との関係を強化し、運送業界が直面するトラック不足や人手不足に対応する。地域社会の雇用維持・創出にもつながる。政府も下請け代金支払遅延防止法などで、中小企業の資金繰り安定化を図っており、それに応える意味もある。

ソーシャルローンとは、外部機関が策定したソーシャルローン原則に準拠し、社会的課題の解決や緩和につながる事業の資金調達手段を指す。山九は現金払いへの切り替えを「支払い早期化プロジェクト」と称しており、そのための借り入れは第三者機関の格付け投資情報センター(R&I)から同原則に適合していると評価された。