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コンビニ共同配送実証で成果、大手3社と流経研

2022年10月17日 (月)

荷主セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの大手コンビニ3社と、公益財団法人流通経済研究所(東京都千代田区)は17日、ことし2月に北海道で実施した、商品の共同物流に関する実証実験の結果を発表した。

個社で実施する配送に比べて、距離・時間の短縮化やCO2排出量削減に改善効果を確認したと説明。今後について、3社はSDGsの視点も踏まえて「コンビニ業界における新しい物流の形」を目指し、「サプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討する」としている。

▲共同配送のルート(出所:セブン-イレブン)

実証は北海道の函館エリアで、2月21日から1週間にわたり実施。「コンビニの配送センター間の物流の共同化」と、買い物弱者支援を目的にした「遠隔地店舗の配送の共同化」に関する検証を行った。

幹線でのセンター間の横持ちを共同化することにより、1便当たりで距離は従来比48%(275キロ)、CO2排出量は45%(176キログラム)、時間は23%(2.5時間)いずれも減少したことがわかった。新商品の発売タイミングなどによる物流の増加に対して、物流を共同化することで運送力不足に対応できるとした。

また、遠隔地への商品配送共同化でも、時間が20%、距離が22%減るなどの効果が確認できたという。

運用課題の解消へ新たな会議体で検討

一連の取り組みは、サプライチェーン全体の生産性向上などを目指す「内閣府戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)で、2022年度が5か年の最終年度。流通経済研究所が調査、分析などを担い、コンビニ3社が協力する形で実施した。SIPの実証は今回で完了だが、同研究所は「引き続き、3社とともに共同配送の実現に向けた会議体を立ち上げを検討したい」として数年後を視野に社会実装を進める方針だ。

一方で、今回の実証で現場レベルででの課題も浮き彫りになったことも明らかにした。かご台車の使用の有無やスペース確保といった各社で運用が異なるため、3社による事前の情報共有やオペレーションの調整の必要性が認識されたという。

(イメージ)

こうした問題点を乗り越えるには「数年単位が必要」(同研究所の担当者)とみられるが、共同配送の取り組みは物流の効率化にとどまらず、買い物弱者支援やSDGsといった社会課題に資する側面もあり、各社が共同配送の取り組みを前向きに捉えている模様だ。

発表によると、コンビニは国内に5万8000店舗。しのぎを削る大手3社が、どのようにタッグを組みスマート物流を実現していくのか注目だ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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