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地震や火災の初動対応プロに学ぶ、LT主催イベント

2022年10月19日 (水)

話題LOGISTICS TODAYが主催するオンラインイベント「物流機能不全を回避せよ、成否分ける発災直後の初動」が19日開催された。

首都直下型地震をはじめ、近年相次ぐ記録的な大雨や大規模な火災などを踏まえ、物流会社や荷主企業が発災から24時間以内に取るべき対応をメインテーマに、専門的な知見やサービスを提供する企業2社が参加。事業継続に必要な行動を時系列で説明するとともに、平時からの備えや心構えについて情報を発信した。

パネル討論に登壇したのは、災害対応支援ビジネスを展開するJX通信社(東京都千代田区)の鈴木大和執行役員、川崎隆豊氏と、レスキューナウ(同品川区)の森下裕太氏、渡辺和隆氏の計4氏。進行はLOGISTICS TODAY編集部の赤澤裕介編集長が務めた。


▲(左から)JX通信社の鈴木氏、レスキューナウの渡邊氏

発災直後の行動について、渡辺氏は安全を確保した上で「発災後から最初の2時間は、まず状況を把握することが重要」と強調。具体的には、従業員の安否情報や事業所の被災状況といった「社内情報」と、道路や電気といったインフラの稼働状況に関する「社外情報」の両面から調べ、事業への影響を見極める材料とする重要性を説いた。

社外情報の収集に関しては、鈴木氏が、ことし9月に静岡市に広範囲な断水被害などをもたらした台風14号を例に挙げ「倉庫や配送エリア、サプライチェーンの取引先の状況など、TVの報道では取るべき情報を取る術がない」と語り、必要な情報を適切に取捨選択する難しさも指摘した。

話題は、大規模災害に備えたBCP(事業継続計画)の実効性にも及んだ。BCPは昔に比べて策定が進んでいるものの、リアルに感じやすい備蓄品の用意などと比べて、初動対応という無形な取り組みのため「動きの話なので不安を感じやすい」と川崎氏。BCPを半年に1回程度見直したり、定期的に訓練したりして平時から運用を身近に感じることで実効性を高めるべきとした。

森下氏も、BCPに実効性を持たせる有効策を提言。発災直後のアクションを細分化し手順化する方法を挙げ「どのような情報を集め、誰が何のためにやるのか具体的な手順があると行動できる」と語り、社員が自律的に行動できるよう事前準備が有効と説いた。


▲(左から)レスキューナウの森下氏、JX通信社の川崎氏

このほか、発災から2〜6時間後の動きとして、物流事業者は倉庫の被災や道路の通行止めなど収集した情報を体系的に整理し、速やかに代替策を検討して実行するといった解説があった。

一方、近年多発している倉庫火災に関しては、自社ではなく外部の倉庫で発生し、想定外のリスク管理が課題になっている。こうした場合でも、迅速に情報収集して意思決定する大切さが確認された。