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自動運転レベル4&自配ロボ、来年4月に公道解禁

2022年10月27日 (木)

行政・団体警察庁は27日、特定条件下の人がいない状態で、システムによる完全自動運転を行う「レベル4」での運行や、自動配送ロボットなど「遠隔操作型小型車」による運行に関する規定を定めた改正道路交通法の施行について、2023年4月を予定していると明らかにした。

この日公表した、道交法改正に伴う関係政令案などに対するパブリックコメント(意見公募)の実施要領などによると、警察庁は、特定自動運行に係る許可や遠隔操作型小型車に係る届け出制度に関する規定を整備する方針を示した。

(イメージ)

改正法が施行されれば、当面は過疎地や廃線跡などの限定地域での遠隔監視のみの無人の自動運転移動サービスを想定し、25年をめどに全国普及を目指す。物流(トラック)に関する移動サービスは、25年度ごろに高速道路でのレベル4による自動運転の実現に取り組む。

具体的な規定の内容は、レベル4による自動運転を行う場合、各都道府県の公安委員会に対して、特定自動運転の運行計画などを記載した申請書の提出と許可が必要。許可を受けた特定自動運行者は、遠隔監視装置の設置と遠隔監視する特定自動運行主任者の配置をした上で、計画に沿った運行を義務付けている。

自動配送ロボットなどが該当する「遠隔操作型小型車」に関しては、事業者が通行する場所を管轄する都道府県公安委員会に対して、通行場所や遠隔操作する場所、連絡先、非常停止装置の位置などに関する届け出を提出。通行は信号機に従うなど歩行者と同様に取り扱う必要がある。

このほか、遠隔操作型小型車の車体の大きさや構造についても定義。長さは120センチ以下、幅70センチ以下、高さ120センチ以下とし、最高速度は時速6キロ以下で歩行者に危害を及ぼすような鋭利な突出部がないことなどを盛り込んだ。

走行時の安全性を確保するため非常停止装置に関する基準も明記され、車両の前方か後方から容易に操作ができる押しボタン式に限定し、遠隔操作型と周囲に知らせる分かりやすい標識を表示するなど細かく規定している。

パブリックコメントは28日から11月26日まで。

「自動運転レベル4」法改正、物流における問題解決策と将来像の策定を進めたい政府の思惑が透ける

無人走行の車両が荷物を配送する社会の到来――。そんな夢の世界だけで繰り広げられるような物語が、現実のものになるかもしれない。そんな期待を抱かせる法律の整備が進むことになりそうだ。そこには、政府が頭を悩ませる物流を巡る難題に対する「解」をひねり出したい思惑も透けて見える。

社会に不可欠なインフラとしての認識が定着してきた物流機能だが、その先行きには不透明感が強まっている。EC(電子商取引)サービスの普及に新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配需要の拡大が重なり、国民の購買スタイルは急速に多様化。店舗から宅配へと購買シフトが顕著になるなかで、物流の重要性が再認識されている。

現場では取り扱う荷物の量と種類が急増する一方で人手不足も露呈。そこでにわかに注目されるようになったのが、IT技術の活用による業務効率化・最適化、いわゆる「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」だった。

物流業界でまずDXの機運が高まったのが、荷物の保管や仕分けを担う倉庫現場だ。送り手から届け先へ荷物を確実に運ぶ基点としての役割を果たす倉庫は、急増する荷物への対応力が限界に達してボトルネックとなる可能性が高いからだ。

こうした業務効率化の次のターゲットが「輸送」だ。働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働の管理が厳格になることで起きうる「物流の2024年問題」をはじめとしたドライバー不足にからむ諸問題は、「荷物を運べない」懸念を浮き彫りにしている。とはいえ、公道で車両を運行して業務を展開する輸送現場のDXは、道路法制への対応が必要になるなどハードルが高かった。

こうした物流DXを推進することで、国民生活の維持に欠かせない物流の確保・強化を図りたい政府にとって、法整備による裏付けは避けて通れないプロセスだ。今回の法改正は、こうした文脈から生まれた動きとして読み解けば、物流に対する問題解決策と将来像の策定を進める「一里塚」として捉えることができる。(編集部・清水直樹)

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