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米ドアダッシュ、従業員1250人を削減

日本から撤退・縮小相次ぐフードデリバリー

2022年12月2日 (金)

(出所:DoorDash)

フード米料理・食料品宅配サービス大手のDoorDash(ドアダッシュ)は11月30日、従業員を1250人程度削減すると発表した。新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要を背景に、事業規模拡大に合わせて自社採用などを進めてきたが、コロナ禍からの社会経済活動が本格化してサービス需要が鈍化。景気の減速感が強まる中、人員削減に踏み切った形だ。

トニー・シュー最高経営責任者(CEO)は、同日付で従業員に配信したメッセージの中で「私たちのビジネスは急速に成長し続けているが、採用の早さを考えると、営業費用がこのままでは収益を上回り続けるだろう」と見通しについて言及。今回の決定について「人員以外の営業費用を削減し続けているが、それだけではギャップを埋められない」とコメントしている。

ドアダッシュは、日本では「Wolt」(ウォルト)ブランドとしてサービスを展開している。一部報道では、今回の人員削減は日本での事業にも影響が出るとされる。

撤退相次いだ22年。背景に配達員確保や利用促進巡る「消耗戦」

日本の料理宅配の市場規模は、コロナ前の2019年比で2倍程度伸び、7900億円余りとされる。コロナ禍を契機に非接触・非対面ニーズを取り込む形で、外食店のデリバリーサービスも以前と比べて日本社会で広がりを見せている。しかし、2022年は日本国内で急成長を続けてきたフードデリバリーサービス業界で、参入プレーヤーたちの撤退・縮小が相次いだ。市場シェア拡大には大規模な初期投資が求められるため、同業社間で繰り広げられる熾烈な「消耗戦」が、こうした動きの背景にあるとみられる。

ドイツ発のfoodpanda(フードパンダ)がことし1月、日本での事業開始からわずか1年半で撤退。さらに、5月には中国滴滴出行のタクシー配車プラットフォーム「DiDi」によるデリバリーサービスも終了した。こちらも、20年5月から2年余りと短命に終わった。フードパンダが、日本から撤退した理由として競争激化と労働力不足が挙げられている。

一方で、国内大手の出前館は、売上高が前年比63.4%増の473億1400万円(22年8月期通期連結決算)と伸長した。成長率に鈍化が見られるものの、アクティブユーザー数も19%増(873万人)と伸長し、巣ごもり消費の一服感や物価高による節約志向が鮮明になる中であっても、依然として料理宅配の需要は底堅く、日本での「デリバリーの日常化」は進むとみている。

ただし、出前館の同決算期の営業損益は364億円余りの赤字で、5期連続で営業赤字を計上。3年後の黒字転換を目指しているが、Uber Eats(ウーバーイーツ)など競合他社との配達員の確保やサービスエリア拡大、利用促進キャンペーンを巡る「覇権争い」は続きそうだ。

foodpandaの日本事業売却へ、業界再編に発展も

出前館が通期決算、デリバリー好調で配達員も倍増

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