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高度物流人材育成のカギは、大手物流や荷主討論

2023年1月12日 (木)

行政・団体学生や社会人を対象にした、第3回高度物流人材シンポジウム(国土交通省、経済産業省、SIPスマート物流サービス研究推進法人共催)が12日、東京都内のリアル会場とオンラインのハイブリッド形式で行われ、物流、荷主の大手企業幹部と国交省職員の4人が登壇した。テーマは「これからの物流をけん引する中核人材」。業界が必要とする人物像として、社会インフラを担う業界ならではの利他の精神の必要性や幅広い業界に携わるコミュニケーション力や視野の広さなどが挙げられ、育成に求められる視点や取り組みについて活発なパネル討論を繰り広げた。

討論に参加した企業は、NIPPON EXPRESSホールディングス、日本郵船、味の素。進行は基調講演した東大先端科学技術研究センターの西成活裕教授が務めた。


▲(左から)海野昭良氏、石沢直孝氏

NIPPON EXPRESSホールディングス執行役員の海野昭良氏は、ビジネスにおける商流や業界、荷主と物流会社と立場はそれぞれ異なるものの「市場は何を望んでいるのか拾える人材」の大切さを指摘。人事交流や顧客先への駐在といった取り組みを通じて、立ち位置の違いを踏まえた上で、さまざまな課題の解決にアプローチできるよう取り組んでいるとした。

NYKデジタルアカデミー学長で日本郵船イノベーション推進グループ長の石沢直孝氏は、利他の精神を持った人づくりの重要性を強調。競合他社との競争と協調の先に、従来にない新たなマーケット拡大につながると持論を展開し、「若い世代に市場創造にチャレンジしてもらうのが一つの方策」と座学だけでなく実践にも重きを置くことを教育のポイントに挙げた。


▲(左から)堀尾仁氏、岡野まさ子氏

味の素上席理事物流企画部長の堀尾仁氏は、社長と物流担当の社員が直接コミュニケーションする機会を通じて、サプライチェーンを俯瞰できる経営者目線を育み、能力開発につながると説明。「担当者や時代は変わっていくので、変化には柔軟に対応していくことが大切」とも付け加えた。

国交省で物流政策を担当する岡野まさ子審議官は「物流の2024年問題」や脱炭素化、SDGsといった業界共通の課題への対応が迫るなか、危機感が業界一丸で高度人材の育成に取り組む好機になると主張。異業種との意見交換や人事交流、産学官での取り組みを積極的に展開し、次代を担う中核人材を育てるべきと呼び掛けた。

最後に、登壇者4人は若者たちに向けて、自身の社会人経験も踏まえてメッセージを発信した。各人のメッセージの要旨は次の通り。

■NX・海野氏
「リーダーシップもそうだが、『問い』を自分で作れたり、刺激を与えられたりする人であってほしい」

■NYK・石沢氏
「誰かを褒めたり、勇気づけたりしてエネルギーを上げることをやってほしい。その人の良さや価値も見えてきて、自分自身の世界が広がる」

■味の素・堀尾氏
「物流は正直楽しい。先人がやっていないことで、まだまだできる余地がある。飛び込んでみてもらいたい。物流会社だけでなく、商社やメーカーでも活躍できる」

■国交省・岡野氏
「向き不向き、限界や可能性を決めつけずチャレンジしてほしい。コミュニケーション力は必要。人付き合いを好きになって」

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