ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

「物流を変革・物流で変革」高度物流人材育成討議

2025年2月28日 (金)

行政・団体国土交通省と経済産業省は2月28日、次世代の物流を担う高度物流人材の育成を支援する「高度物流人材シンポジウム」の第5回を開催した。

同シンポジウムでは、ドライバーの労働環境改善に伴う規制や、担い手不足、カーボンニュートラルへの対応など、社会インフラとしての物流を担う人材には、ただコストセンターとしての物流から脱却し、新技術の導入や異分野連携といった、物流からの付加価値創出を主導できる人材が必要と提起。全体最適の視点から物流内外の技術・分野との連携を企画し、推進する人材のロールモデルや、そのために必要なスキルや育成のためのキャリアパスなどについて議論された。冒頭、国土交通省 物流・自動車局の鶴田浩久局長からは「物流を変革する・物流で変革する」というテーマで議論が深まることへの期待が寄せられた。

基調講演では、「荷主企業と高度物流人材 」をテーマに、東京大学大学院工学系研究科の西成活裕教授が登壇。CLO(物流統括管理者)体制で荷主企業が目指すべき人材育成の方向性が解説された。新たな物流体制の構築はCLO1人ではなく、それを支える高度物流人材のチームで構築する必要があると指摘。高度物流人材に必要な4つの要素として「最新技術の知識」「財務を見る力・経営力」「ビジネスモデルを創出する力(連携・共創)」「倫理観」をあげ、チーム力で戦略としての物流革新に取り組むことを訴えた。

国交省の木村大 大臣官房審議官(物流・自動車局担当)は、2023年にまとめられた「高度物流人材の育成・確保に関するワークショップ」提言など、これまでのシンポジウムを通じて、人材育成に取り組んできたことを解説した。

伊藤忠商事 住生活カンパニー 物流物資部 海運・物資課(上席コンサルタント)の長谷川真一氏の講演では、「PDCA」サイクルだけではなく「OODA」(obserbe観察、orient方向付け、decide意思決定、act行動)ループで意思決定を目的としたプロセスを学ぶ人材育成について。また、オプティマインドの松下健代表取締役の講演では、特に高度「IT」人材の育成と獲得が重要との見解が示され、物流知識に強くITの素養もある人材、IT知識に強く物流にも親和性のある人材、それらの橋渡し・翻訳者となる人材など、これからの物流戦略に不可欠な素養をどのように高度「IT」人材として育成、確保していくべきかの知見が解説された。

シンポジウムの後半では、前半の講演者に加えて三井不動産ロジスティクス本部の大間知俊彦ロジスティクス事業部長を交えたパネルディスカッションを開催。

人材育成においては「やってみる」「新しいソリューションで運用してみる」など、失敗を恐れずに試行錯誤で改善を目指す姿勢と、それができる企業の土壌や現場把握力が大切などと議論。各領域の専門的なチームをまとめるマネージメント力、多様な領域をオーケストレーションする力、課題解決のための青写真を描くことから知的好奇心を育てるなどの取り組みが必要であるなどの意見が交わされた。

さらに、CLOに求められる「最新技術」への理解について、インプットしたものがどのようにアウトプットされるのかを理解すること、それが現場課題にどのように解決できるか否かを判断できる能力が必要では、などの見解が示された。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com