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協働ロボ導入の作業時間9割減、OnRobotがPF開発

2023年1月23日 (月)

▲オンロボットのエンリコ・クログ・アイベルセンCEO

サービス・商品アーム型ロボットの先端に取り付けるツール(エンドアームツール)を開発・提供するOnRobot(オンロボット、デンマーク)はこのほど、協働ロボットの導入を容易にするデジタルプラットフォーム「D:PLOY」(デプロイ)の提供を開始した。20日に都内で記者発表に臨んだエンリコ・クログ・アイベルセンCEOは、協働ロボットを稼働させるためのプログラミングが必要なくなるメリットを強調した上で、「デプロイがあれば、誰でもロボットエキスパートになれる」と自信をのぞかせた。

デプロイは、オンロボット製のエンドアームツールを取り付けた協働ロボットの稼働設定を支援するもので、プログラミングの知識を持つシステムインテグレーター(SI)などでなくても、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を用いて容易に設定と調整ができるようになるのが特徴。

▲(左から)デプロイの操作画面、デプロイのハードウエア、エンドアームツールの動作イメージ(出所:オンロボット)

例えば、パレタイジング用に協働ロボットを導入する場合、オペレーターが荷物のサイズと重さ、数量、積み込むパレットのサイズを入力すると、デプロイが15秒ほどで作業工程を自動計算してプログラミングするため、通常40時間ほどかかっていた設定作業を4時間に短縮できるという。

▲日本法人の鈴木孝カントリーセールスマネージャー

初期段階でデプロイに対応する協働ロボットは、ユニバーサルロボットやオムロン、ファナック製に限られるが、今後6か月から8か月のサイクルで対応する協働ロボット(メーカー)を増やす。同社はこれまでエンドアームツールなどのハードウエアを中心に開発・展開してきたが、「今後はソリューションプロバイダーへと舵を切り、ソフトウエアを展開していく」(アイベルセンCEO)という。日本法人のオンロボットジャパンは、デプロイを全すべて代理店経由で提供する方針で、2023年度に国内で100台の販売を目指す。

PCにおけるWindowsと同じように、ロボットを身近な存在に

「PCの世界では昔、コンピューターを動かすためのDOSというものがあったが、非常に複雑で一般の人が使えるものではなかった。そこにWindowsが登場したことで、PCが一般の人にも使われるようになった。デプロイは、PCの世界におけるWindowsと同様に、ロボットを幅広い人に使用してもらえるプラットフォームだ」。オンロボットのアイベルセンCEOは、報道陣を前にデプロイの存在をこのように説明した。プログラミングの知識を持たないユーザーであっても、手持ちのPCやタブレット端末で設定と調整ができるメリットは非常に大きい。

▲タブレット端末でロボットの動作設定を行う様子(出所:オンロボット)

物流現場においてロボット導入のハードルを上げている原因の一つは、導入後の設定や調整などに専門的な知識や時間を要することだ。ロボットを稼働させたあとに調整が発生しない現場はほぼ存在せず、安定稼働までに数か月から数年かかるのが一般的だ。その都度ロボットの稼働を止めてエンジニアを呼ぶのもコストがかかる。自社でエンジニアを抱えることもできるが、そもそもロボットのアプリケーションに精通しているエンジニアは不足しているため、それなりの資金と規模を有する大手の物流企業・荷主企業に限られる。ロボット導入の技術的なハードルが下がり、設定や調整にかかる時間が短縮されれば、中堅・中小の物流現場でも導入の機運が高まる可能性がある。

また、オンロボットが提供するデプロイは、どのメーカーの協働ロボットと連携した場合でもインターフェースが同じであることがメリットの一つだ。Windowsが搭載されたPCを操作する際に、PC本体のメーカーを意識することがないのと同様に、どのロボットメーカーのロボットであっても同じ操作方法で設定と調整の作業ができる。エンドユーザーにとっては、メーカーごとの設定方法を覚える必要がなく、格段にとっつきやすくなる。

また、SIにとっても作業効率が上がる。SIは、個々のロボットにかける時間が短縮されれば、ロボット・マテハン機器間の連携に時間を割ける。一つのプロジェクトにかける作業工数が半分に圧縮されれば、同じ時間で2倍のプロジェクトに取り掛かることができる。これにより、物流現場の自動化・省人化に向けた動きが一気に加速する可能性を秘めている。(鶴岡昇平)

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