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日立物流3Qは増収増益、上場「最後」に寂しさも

2023年1月30日 (月)

財務・人事日立物流は30日、2023年3月期の第3四半期連結決算を発表した。米投資ファンドKKRによる同社株式の公開買い付け(TOB)が昨年秋に行われて買収が成立し、2月24日をもって東京証券取引所の上場が廃止となる予定で、上場企業としての決算発表は今回が1つの区切りとなった。増収増益としたものの、国内、海外事業とも力強さに欠け、課題を抱えたまま、4月の「LOGISTEED」(ロジスティード)への社名変更と新執行体制移行を迎えることになりそうだ。

(イメージ)

発表した第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比12.1%増の6179億6300万円、調整後営業利益が26.3%増の369億4900万円、最終利益が56.2%増の215億7000万円と、増収増益となった。

同社は財務担当役員が電話で記者会見を行い、部門別業績を説明した。それによると、国内物流は売上高が1%増と増収を確保したが、調整後営業利益は3%の減益だった。21年11~12月の大阪市での倉庫火災による代替輸送がまだ続いており、コスト増となっている。

国際物流は、売上高が27%増、調整後営業利益が83%増と増収増益としたが、「足元の荷動きは強くない」と同役員は警戒感を示した。地域別に見ると、伸びが期待されてきた中国の売上高が上海市のロックダウン(都市封鎖)などの影響もあり、7%減った。調整後営業利益は4%増としたが、現在の春節前後の荷動きも弱いという。

海上運賃は新型コロナウイルス禍による異常な高騰から、ここにきて下落が続いている。燃料・エネルギー価格の上昇も苦しく、1月27日に佐川急便が宅配便の値上げを発表した。日立物流も同様のコスト高に直面しており、同役員は「まずは生産性を向上させた上での話だが、その後に価格転嫁の交渉を(荷主企業に)行うかを検討するだろう」と述べた。

株式は上場廃止となっても社債市場などに向けて、今後も独自の業績開示は続けなければならない。将来の再上場の可能性もある。いったんは決算発表の表舞台から退く日立物流の「最後の」決算発表は、新たな門出を前に、やや寂しいものとなった。

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LOGISTICS TODAY編集部
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