ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

デジタルツインで物流課題可視化、アイディオット

2023年2月9日 (木)

ロジスティクスデータプラットフォーム関連のスタートアップであるアイディオット(東京都渋谷区)は7日、「デジタルツイン」によって物流業界が抱える課題を可視化し、AI(人工知能)シミュレーションで解決する技術開発を行ったと発表した。

これは国家プロジェクトの戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「第2期スマート物流サービス・物流のビッグデータ利活用の研究開発」の一環だ。同社は内閣府から技術開発を受託し、2022年9月から実証実験を進めてきた。

デジタルツインとは、現実の世界から収集したさまざまなデータを、まるで双子であるかのように、コンピューター上で再現する技術のこと。同社はデジタルツインを使って、次の3つの課題解決の実証実験を行った。「物流企業の本部向け戦略立案システムの構築」「交通・天災情報と位置情報を利用した現場向け業務改善システム」「炭素排出量可視化・シミュレーター」の3課題だ。

いずれも、実在する大手3PL企業をモデルケースにし、配送店舗の発注量データや出荷実績データ、荷物量、配送先、運行管理記録表、トラックの配送距離などの実データを使って、コンピューター上に物流の動きを再現して課題解決を試みた。


▲現場向けの業務改善システムの例(クリックで拡大、出所:アイディオット)

1つ目の本部向け戦略立案システムについては、AIが荷物の行き先の物量予測を行い、効率的な荷物の積み方をすることで労働力不足や車両不足を解決できるか試した。構築したシステムによって、現状の4トントラックを多用する手法から10トントラックを使って複数店舗をまとめて配送する手法が有利であることが導かれ、現状よりも12%の配送コスト削減と、32%の車両台数削減効果が確認された。

2つ目の業務改善システムについても、交通や天災などのリアルタイム情報をデジタル空間上に反映し、配車作業を効率化する技術として成果を確認した。3つ目の炭素排出量可視化・シミュレーターについては、トラックの動きをセンサーからリアルタイムに収集し、CO2排出量の可視化を実現。配車台数の最適化を行った結果、10トントラックを多用して20.4%のCO2排出量を削減する効果が確認された。

▲アイディオットの井上智喜社長

これらの成果は、東京都新宿区で7日に行われたスタートアップ3社による「物流のビッグデータ活用最前線」の共同記者会見で発表された。アイディオットの井上智喜代表取締役は、「商社や部品メーカーから需要予測やCO2削減に対する問い合わせが来ている。大手物流企業だけでなく、サプライチェーン全体と関わっていきたい」と、今後の展開を語った。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com