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福山通運が4月に積合せ運賃10%増、賃上げ原資に

2023年2月9日 (木)

財務・人事福山通運は9日、ことし4月に「積み合わせ運賃」を現行から10%アップするなど基本運賃を改定すると発表した。値上げにより原資を確保し、ドライバーらの賃金アップや人材確保につなげることで「物流の2024年問題」への対応を急ぐ。運賃占有率で30%を占め、同社が強みとしている長距離(600キロ以上)運賃なども割増する方針。法人契約を結ぶ取引先と値上げ交渉を進める。宅配の値上げを巡っては、佐川急便やヤマト運輸が4月に改定すると発表するなど、24年問題や賃上げへの対応をにらみ、運送業界で運賃見直しの動きが広がってきた。

福山通運が積み合わせ運賃を改定するのは20年8月以来。今回の運賃見直しでは、個人向けの「フクツー宅配運賃」も1〜2%値上げする。また「不適正運賃・重量」を是正するとして、現在の物価水準に合っていない荷主の運賃改定も進める。荷待ちの発生などがある大型倉庫宛ての運賃も割増料金を受け取れるように改善を図れるよう個別で交渉に取り組む。

同社によると、運賃改定は24年問題を念頭に、物価高が始まった1年以上前から検討を進めていたという。今回の運賃と給与の改定を通じて、同社は顧客と協力会社、従業員にいずれも好影響が及ぶように、安全安心かつ持続的な安定輸送を提供する構えだ。

ドライバーらの待遇改善に関しては、運賃アップで原資を確保した上で具体的に給与や手当の拡充について決める予定。集配能力を高めるため人材の採用強化やDX(デジタルトランスフォーメーション)やIT化による省人化なども推進する。

同日は2023年3月期通期業績予想の修正も発表した。生産コストや物価の上昇、急激な為替変動が企業間物流の下押し要因となり、この状況が今後も続く見込みとして、売上高は2937億円(前回予想は2968億円)、営業利益は217億円(同231億円)、最終利益は208億円(同219億円)と下方修正した。

23年3月期第3四半期連結決算は、売上高が前年同期比1.4%増の2232億8100万円、営業利益が2.7%減の188億9600万円、純利益が39.2%増の189億200万円で増収減益だった。運送事業は輸送量が前年を下回ったほか、燃料比などが高騰したのが響いた。

深刻なドライバー不足に対応するため、ダブル連結トラックの認可を20コースに拡大するなど効率的な輸送体制の構築に努めた。EC(電子商取引)において、9月に日本郵便と運送業務委託契約を締結。EC荷物の取り扱いを開始して貨物輸送量の増加に取り組んだが、円安による仕入れ価格の上昇や高インフレによる商品の買い控えが響いて低調に推移し、業績を下押しした。

ヤマトが届出運賃毎年見直し、法人顧客と改定交渉

佐川急便が宅配便を4月に値上げ、平均8%

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