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排ガス試験で推定値採用や部品交換、豊田織機

2023年3月17日 (金)

行政・団体国土交通省は17日、豊田自動織機からフォークリフト向けエンジン4機種について、型式指定申請に不適切な行為があったと報告を受けたと発表した。劣化耐久試験(一定時間を運転後のエンジン排出ガス性能を確認する試験)において、エンジン部品を交換して実施したり別のエンジンで調べた測定値に差し替えたりするなど適切な手順や方法を行わなかったなどとして、法規違反の可能性があるとしている。このうちフォークリフト用ディーゼルエンジン2機種に関しては排ガス基準を満たしていなかった。

国交省は「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり極めて遺憾」とコメントし、詳細な調査と速やかな報告を指示した。豊田自動織機は今後、特別調査委員会を設置して一連の不適切な行為の詳細や原因、背景について調べる方針。

豊田自動織機は同日、フォークリフト3機種の国内出荷を自主的に停止することを発表した。同社によると、すでに販売されたフォークリフトの安全面に問題はなく、通常通りに使用できるとしている。

▲ジェネオR(出所:豊田自動織機)

対象機種は、2014年に認証申請したフォークリフト用ディーゼルエンジン「1ZS型」と「1KD型」、09年に認証申請したフォークリフト用ガソリンエンジン「4Y型」で、いずれもフォークリフト「ジェネオ」などに搭載されている。販売台数はディーゼルエンジン搭載車が71万3000台、ガソリンエンジン搭載車は88万3000台(ともに23年2月末現在)。

同省への報告などによると、豊田自動織機が行っていた法規違反に関わる行為は4点。ディーゼルエンジン試験で、排ガス成分の実測値ではなく推定値を結果として採用。試験中に排ガス中のPM(微小粒子状物質)値が高くなったため、燃料噴射装置を改良したにもかかわらず、再度試験をやり直さず推定値を試験結果にした。

また、排ガス試験の一部で設備の仕様上、規定のエンジン運転条件を成立させるのが困難だったため、本来設定すべき設備(試験ベンチ)側ではなくエンジン側の制御ソフトの一部を変更して試験を行った。

ガソリンエンジンに関しては、部品の製造ばらつきの影響を調べる目的で、劣化耐久試験の途中で実施する排ガス試験のうち1回をエンジン部品を交換して実施。試験中に排ガス中のNOx(窒素酸化物)値が高くなったことから、燃焼状態を測定するセンサーへの影響を確認するため、一時的に仕様の異なるセンサーを使ってNOx値を測定し試験を継続した。

さらに、一部の試験で出た異常値と認識し、そのまま試験結果を使用せず同性能の別エンジンにより得られた排ガスの測定値に差し替えた。

一連の行為が発覚したきっかけは20年後半。北米向けガソリンエンジンの認証申請時、現地当局からのデータ確認などに対応するなかで申請済みのデータに懸念を持ったという。このため21年5月、外部弁護士による自主的な調査を始め、米当局に報告。22年1月には調査範囲を日本国内のガソリンエンジン認証にまで拡大し、同4月にはディーゼルエンジンに関する調査も開始した。

今回の問題を受け、同社は会長の豊田鉄郎氏の月額報酬100%を6か月間カットするなど、役員4人の処分を発表した。同じく社長の大西朗氏も月額報酬100%を6か月分、副社長(トヨタL&Fカンパニープレジデント)の水野陽二郎、経営役員(エンジン事業部長)の松本洋の両氏は同30%を6か月分を辞退する。

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LOGISTICS TODAY編集部
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