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三菱重工、H2Bロケットの打上げ輸送事業を開始

2012年9月27日 (木)

話題三菱重工業は27日、H2Bロケットの打上げ輸送サービス事業を開始すると発表した。ことし7月21日のH2B3号機の打上げ成功を受け、26日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と合意したもので、4号機以後の打上げは同社が担うことになる。

2007年以降、同社が打上げを受託しているH2Aロケットに比べ、質量が2倍の大型人工衛星にも対応可能となったことから、国内外の商業衛星など幅広い打上げニーズに対応し、世界市場の積極開拓を目指す。

H2BロケットはJAXAと同社が共同開発したもので、H2Aと並ぶ日本の基幹ロケット。09年の初号機から3機連続で打上げに成功している。これまで同社が中心となって製造してきたが、JAXAが実施する安全確認、地上安全確保、飛行安全確認などの業務と飛行データの取得に関わる業務を除き、今後はすべての製造・打上げ業務を同社が担当する。

H2Bはこれまで3機とも、JAXAで国際宇宙ステーション(ISS)へ物資を運ぶ宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の打上げに使われてきた。同ロケットの静止遷移軌道への衛星打上げ能力は8トンで、通信用などで大型化の傾向にある衛星への対応力も広がることとなる。また、2基の中型衛星を同時に打ち上げることも可能。

同社は、H2A・Bロケットを用いた打上げ輸送サービス事業を通じ、日本の宇宙へのアクセス手段の確保を担う。このため、官需衛星を打ち上げる場合の国産ロケットの確実な活用や、官需衛星の打上げ時期の明確化、さらに踏み込んだ宇宙関連産業維持方策などを政府に要請していく。

併せて今後、国内外の衛星打上げプロジェクトに対して、H2Aと同様にH2Bをさまざまな衛星の打上げとの相乗りで利用することや、新興国に対する衛星輸送サービスを中心にした宇宙インフラパッケージ輸出など、多様な提案を行う。継続的なコスト低減、品質向上活動に取り組むことで、国際競争力を強化し、ロケット打上げ機数の確保で宇宙輸送系産業基盤維持を図る。