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国交省が脱炭素港湾の認証制度案、23年度に試行へ

2023年3月31日 (金)

認証・表彰国土交通省は30日、脱炭素化に取り組んでいる港湾ターミナルに公的な認証を与える「CNP認証(コンテナターミナル)制度」の案を公表した。2023年度に試行を行い、早期の正式実施を目指す。物流過程での気候変動対策が世界的に求められていることを受け、認証を与えることで日本の港湾の国際競争力を高めるのが狙いだ。

CNPはカーボンニュートラルポート(脱炭素港湾)の略称で、脱炭素化に配慮した高度な機能を持ち、CO2を出さない水素などの受け入れ環境も整備された港のことだ。世界的にサプライチェーンの脱炭素化に取り組む荷主などが増えており、国内港湾を選ばれる存在にするため、国交省が旗振り役となりCNPを推進している。そのための客観的な評価・認証制度が必要と考え、22年6月から検討会を開催して制度案を検討してきた。

公表された制度案によると、認証のための評価は「ターミナル内」と「船舶・車両」の2つの観点に分けて行う。ターミナル内の取り組み例として同省は、低炭素型トランスファークレーンの導入やヤード照明のLED化、トレーラーの渋滞緩和のための予約システム(CONPAS)などを挙げている。船舶・車両の取り組みとしては、LNG(液化天然ガス)供給船を例示した。細かい評価項目を設定し、各項目への該当数に応じて「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「サーティファイド(認証済み)」の4ランクの認証を、港湾ターミナルに付与する案を考えている。

▲脱炭素化の取組例(クリックして拡大、出所:国土交通省)

評価を行う認証機関は、国交省自身ではなく外部の独立・中立的な機関や団体などに委託する。その外部委託も含めて制度が案通りに運用できるかどうかを23年度に試す。外部の担い手を選び、試行と検証を行う。その後の正式実施は「24年度以降」とし、できるだけ速やかな本運用を目指すという。

一般的に荷主や海運会社は、目的地への近さや便利さから港湾を選ぶが、これからは脱炭素化への取り組み次第でその港湾が使われたり敬遠されたりする時代が到来する可能性がある。国際間の競争のほか、国内でも地方港がCNP認証の有無やランクによって選別されることがあり得る。倉庫やさまざまな産業施設の誘致、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の呼び込みに際しても、CNP認証が成否を左右することが想像できる。国交省はそう考え、新年度の試行を通じてより客観的・中立的な制度づくりに努める構えだ。

 

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