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近鉄エクス社長、新入社員55人前に訓示

2023年4月3日 (月)

ロジスティクス近鉄エクスプレスは3日、55人の新入社員を迎えた。鳥居伸年社長はコロナ禍の影響や社会・経済状況の変化を踏まえ、新入社員に対して「人生の先輩として心から伝えたいこと」を語った。

鳥居氏は「習うより慣れろ」「石の上にも三年」「百聞は一見に如かず」「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」といったことわざを引用し、チャレンジすることが成長の糧であること、コミュニケーションが重要であることを伝えた。

また「同社は社員たちが逞しく生き抜くことが会社と社会にとって重要であると考え、社員の成長と活躍を期待するとともに、環境整備に努める」と述べた。

■挨拶詳細

皆さん、本日はご入社おめでとうございます。近鉄エクスプレスグループを代表し、皆さんのご入社を心から歓迎します。

毎年、入社式での挨拶に臨むにあたっては、先ず当社について皆さんに是非知って頂きたいことや、時代背景を踏まえてお伝えしたいことに考えを巡らせ、お話をしてきました。本年の皆さんへの挨拶は、骨子としては昨年度と類似した内容になりますが、コロナ禍を経て、社会、経済、人々の生活様式・価値観など様々な変化がある中、2000年前後に生まれ育ってきた皆さんへ、人生の先輩、そして、当社の社長として、心から伝えたいことを少し親父目線で述べたいと思います。構えずにお聞きください。

当社は、世界45か国304都市で687の拠点を持つ総社員数1万8000人の大手総合物流業者であり、世界的規模の「貨物屋」です。祖業である航空貨物のフォワーディング事業に加え、海上貨物フォワーディング、ロジスティクスまで、主にBtoBのビジネスを対象に物流のワンストップサービスを提供しており、公表されている業界市場のデータによると、売り上げ規模で世界13位、航空貨物取扱量で世界10位、海上貨物取扱量で世界19位となっていますが、その実態は、現場の従業員一人ひとりが世界を相手に奮闘している貨物屋です。「日本発祥のグローバルブランド」を目指し、全社を挙げて日々取り組んでいます。

この業界に興味を持って入社された皆さんは、複数の企業を研究し比較されたと思います。当社の特徴の一つとして、当社の親会社である近鉄グループホールディングス傘下のグループ企業と異なる領域・産業にあって、当社は1970年に設立以来、ほぼオーガニックでこれまで成長をしてきました。これは、既にご引退をされた諸先輩も含めて、社員全員の努力の賜物であり、私たちの誇りです。

世界中の社員が365日24時間、世界のどこかで、悪戦苦闘しながら業務を遂行しています。現場の仕事は、決してスマートなだけではなく、どちらかというと、やや泥臭さを感じる仕事というのが実態です。日々の業務のなかで、イレギュラーは常であり、適宜、状況を把握し、お客様と密に連絡を取って的確な判断を行い、問題を解決することが当社の使命であり、それを全うすることに価値があります。

特に、ここ数年のコロナ禍での全てが異常な状況下では、過去に経験をしたことがない事象に幾度となく遭遇する事もありましたが、これまで蓄積された経験、知識、当社のネットワークなど持てる能力と資源の全てを活用し、知恵を絞り、何とかお客様のサプライチェーンの維持という重要な任務を果たせた時の達成感はひとしおです。

重要なステークホルダーであるお客様から当社のサービスを高く評価され、本心から感謝の言葉をいただけるような事例を積み重ねていくことが、当社の価値に繋がっていきます。昨今、社会的にDX推進に高い関心が集まる潮流の中にあっても、お客様のサプライチェーンを維持するためには、既成の型にはまらない現場での働きと工夫が必要不可欠です。当社は、その現場を中心に成り立っている会社である事を、是非、理解してもらいたいと思います。

皆さんはデジタルネイティブ世代であり、コロナ禍・オンライン時代を逞しく生き抜き、未知の物事に関してもその優れた情報収集力で自分なりの仮説を立て、しっかりとした価値観を持っておられると推察しますが、一方で、コロナ禍の様々な制約により、自身で実体験が叶わず、残念な思いをされたことがあったとも思います。
当社の社員になられた今、是非、多くの物事にチャレンジをしてください。チャレンジをし、自身で実体験、実経験を積むことによって得る価値観はその後の糧になり、たとえチャレンジした時はムダと感じる事であったとしても、必ず、将来において大きな財産となります。

「習うより慣れろ」
「石の上にも三年」
「百聞は一見に如かず」
「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」

事を成し遂げるには、「経験をする」、「学び、考える」、「辛抱して努力する」ことが肝要であることを諭していることわざです。今や少しかび臭い、それどころか本来の意味の真逆の例えとして引用されることもあるようですが、私はいつの時代でも世の中の道理は普遍であると考えています。できる限り自らチャレンジをして実体験を重ね、そこからプラスの事もマイナスの事も自身で習得して、人として一層成長をしてください。

また、私たちの仕事は社内、社外を問わずコミュニケーションが非常に重要です。今後仕事をしていく中で、海外のスタッフやお客様など、自分とは異なる考えを持つ人たちとのコミュニケーションから多くを学び、物事の判断を日本の基準ではなく、グローバルの基準で行う機会も増えてくるでしょう。自ら経験し、コミュニケーションをとる事によって培われる価値観は、間違いなく将来、本人の大きな財産のひとつになると思います。

これからの日本は今まで以上に厳しい、激変の時代になっていく中、如何なる時代、環境下でも、逞しく生き抜く人材が一人でも育つことが、会社のため、そして、社会のため、そしてなによりもその人自身のためになると考えます。社員の皆さんが、如何なる時代でもしっかり生き抜く、当社の社員としてのみならず、ひとりの逞しい人間に成長して頂ける環境を、会社としてこれからもしっかりと整えるように努めますので、皆さんも是非頑張って下さい。

改めまして、本日はご入社、誠におめでとうございます。皆さんの今後の成長と、活躍を心から期待致しています。鳥居伸年社長