ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日商エレ「AI最適配車」が配送効率化の局面変える

2023年5月15日 (月)

話題今から4年前、深刻な人手不足と燃料価格の上昇による配送原価の高騰や、「2024年問題」への対応に苦慮する配送現場で、ある画期的なサービスが生み出されようとしていた。一週間あたり数千件に及ぶ配送案件を、ドライバーの能力と勤務体系、残業規制を考慮しながら、営業日・車両・人員に偏りなく割り振り、車両一台ごとに最も効率的な配送ルートを人工知能(AI)が導き出すというものだ。

(イメージ)

このサービスを開発したのは、1969年創業の老舗システム開発会社、日商エレクトロニクス(東京都千代田区、日商エレ)。同社は、前述の物流課題を抱えていたLPガス販売、灯油販売、飲料販売大手のパートナーとして、各経営層から課題をヒアリングし、それぞれの配送現場に通い詰めて原因を分析。解決策として、AIによる配車計画と配送ルートの最適化を提案し、3年に及ぶ徹底したヒアリングと試行錯誤の末に、従来の最適化システムと一線を画すAIサービスを生み出した。

その名は「AI最適配車サービスPowered by Kii」。事業所ごとに異なる、あらゆる制約条件と効率性の優先順位を考慮し、会社・現場における「全体最適」の配車計画とルートを導き出すAI技術が特徴だ。

1日として同じ条件の営業日が存在しない、補充配送の厳しい条件下で鍛え上げられた配送最適化サービスの最前線と、そこから生まれる新たな付加価値をシリーズで紹介していく。

▲「AI最適配車サービスPowered by Kii」のサービスイメージ(クリックで拡大)

最後まで伴走する覚悟がないとDXは実現できない

「これまでに培った知識とノウハウには絶対的な自信がある」

日商エレDX事業本部の細井達夫氏、池上啓司氏、大西俊輔氏から初めに語られたのは、物流業界の課題解決にかける強い信念だった。物流業界ではあまり馴染みのない日商エレだが、同社は1969年の設立以来、一貫して海外で生み出された最先端のIT技術を日本の製造業やインフラ企業に提供することで、日本の技術革新と産業発展を支えてきた。ただ技術を輸入するだけでなく、導入先のニーズに合わせてカスタマイズし、導入支援から保守サービスまで伴走するのが同社のスタイルだ。

細井達夫副本部長は自社の強みを次のように話す。

▲日商エレDX事業本部の細井達夫副本部長

「日商エレは、日本にDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が根付く前からIT技術による事業変革を支援してきた。極端な話だが、我々の提供するテクノロジーがお客様の売上アップかコストダウンにつながらなければ、意味がないと考えている。問題提起から課題解決までの道筋を示した上で、ときに経営コンサルとして、ときに業務改善コンサルとしてお客様の現場に入り、解決するまで一緒に取り組むのが我々の強みであり、創業当初から大切にしてきた日商エレのDNAだ。課題解決に本気で取り組むお客様とともに、既存の業務フローを変えたり、壊したりすることもあるが、たとえ出血を伴ってでも必ず最後まで並走する。これくらいの覚悟がないと物流課題の根本解決や物流DXは実現できない」(細井氏)

徹底した成果主義と、それを実現させる自信。冒頭の事例では、経営層が目指す課題解決の方向性と現場の求める方向性が相容れず、プロジェクトが暗礁に乗り上げた場面もあったが、「何度もドライバーや運行管理者、経営層と対話を重ねていくうちに、双方が効果とメリットを感じてもらうところに落とし込めた」(大西氏)という。

結果として、配送時間を20%以上削減しただけでなく、ベテラン社員の経験と勘に基づく属人的な配車計画体制の見直しにもつながった。また、曜日による繁閑波動(繁忙期と閑散期の業務量のばらつき)の抑制や、業務効率の向上、各ドライバーの経験と能力に応じた柔軟な計画策定も同時に進められたという。「配送原価の抑制」という目先の経営課題だけでなく、人手不足や「2024年問題」などの中長期的な課題の解決にも寄与した点は、まさにDXの好事例といえる。

▲ドライバーの経験と能力に応じて最適な配送ルートを設定する

そして、この事例に登場する事業者は、今後も継続して改善サイクルをまわしていく上で、最も重要な要素を手に入れていた。「データ」という共通言語だ。

データという共通言語で現場と対話

物流現場には、数多くの”職人”が存在するが、そのノウハウや知見が明確に言語化、または数値化されていることは少ない。経営と現場の双方が効果とメリットを感じながら課題解決に取り組むには、双方が同じ指標で課題を捉える必要がある。そう考えた日商エレは、何度も現場に足を運び、ドライバーや運行管理者などと対話を重ねたわけだ。

▲日商エレDX事業本部イノベーション推進部の大西俊輔チームリーダー

大西氏「そうしていくうちに、面白いことがわかった。現状をデータ化してみると、物流現場のベテラン社員の方々は非常に優秀で、いい仕事をしている。作業効率だけでなく、いろいろな制約条件下における計画立案とルート設定も素晴らしい。一方で、現状の業務が『いかに感覚に頼ったものであるか』『データ化・可視化されていないか』ということもわかった。だからこそ、データをもとに正当に評価される必要があるし、この貴重な人材が引退していくリスクも考えなくてはならない。ベテラン社員の方々の勘と経験を評価しつつ、2・3割ほどの改善の余地があることをデータで理解してもらうと、データという共通言語を介して経営と現場の双方が同じ目線で課題解決に向き合えるようになる」

DXに終わりはない。AIやIT技術は常に進化し、新たなテクノロジーも生まれる。日商エレの「AI最適配車」も進化していく。大西氏は、「ヒアリングと対話、試行錯誤を続けていく中で、これからも改善を重ねていくパートナーとして認めてもらったことが何よりも嬉しい」と話す。

AIを駆使することで配車サービスは新たな局面に

こうした実績を持つ日商エレの「AI最適配車サービス」だが、従来の最適化サービスとは機能面で何が違うのか――。池上啓司部長は次のように説明する。

▲日商エレDX事業本部イノベーション推進部の池上啓司部長

「昨今、ルートやナビゲーションの最適化のみに重きをおいたサービスがたくさん出てきた。一方で、配送量や発注量の需要予測の正確性を売りにしたサービスも出てきている。しかし、どちらか一方だけ優れているものはあるが、両方を加味しながら最適解を導き出すサービスは『AI最適配車』のほかにないだろう」(池上氏)

ルートやナビゲーションの最適化だけでは、決められた配送先の効率的なまわり方が示されたり、到着時間が正確になったりするだけで、最適化・効率化の効果としては少ない。そもそもその車両がその配送先に行くかどうかがあらかじめ決まっている中での最適化だからだ。

一方で、配送量や発注量の需要予測のみを加味すると、現場のリソースやドライバーの勤務体系があまり考慮されず、現場での実行性を失うことになる。従来の最適化サービスでは、効果の最大化と実行性をバランスよく両立させることが難しい、と指摘しているのだ。

これに対し、日商エレの「AI最適配車サービス」は、移動時間と需要予測に加え、ドライバーの勤務予定や残業規制、積載効率、時間指定など、さまざまな条件をAIが取り込み、現場の優先順位に基づいて「全体最適」の配車計画・ルートを導き出す。効果と実行性の両立のみならず、経営と現場が求める全ての条件の「全体最適」を導き出せるのが、従来のサービスと一線を画す理由だ。これまでベテラン配車マンの経験と勘に頼らざるを得なかった領域に、初めて人工知能が踏み込んだといえるだろう。

▲補充配送における活用事例。一般的な配車・ルート最適化サービスが考慮する要素は限定的だが、「AI最適配車サービス」は配送先の選定や週次の計画、ルートナビゲーションまでカバーして「全体最適」を導き出す。(※クリックで拡大)

配車・配送の効率化を突き詰めて考えていくと、考慮すべき膨大な条件が複雑に絡み合い、ときにトレードオフの関係にあるものの中から実行性を伴う全体最適を導き出す必要に迫られる。一方で、考慮すべき条件があまりに膨大すぎるために現状を把握できず、「効率化したいけど、課題がどこにあるかわからない」といった声も多く聞かれる。

全体最適を導き出す「AI最適配車サービス」と、日商エレの課題解決に向けた取り組み方、データ化の必要性などに少しでも共感された方は、まず同社の「配送業務診断サービス」をお受けいただくことをおすすめする。手持ちの簡単なデータから、どれくらい効率化できるか、効果を得られるか、どういう工程を踏む必要があるのか――をAIシミュレーションを用いて導き出すものだ。最先端のAI技術、課題解決のノウハウ、運送現場の知見を併せ持つ、日商エレの”診断”から得られるヒントは大きいはずだ。

次回は、トラックドライバーと配車マンとしての勤務経験を持つ物流ジャーナリスト・坂田良平が、自身の経験を踏まえて日商エレのソリューションを検証する。

>>第2回 「課題はどこに?」、悩む物流担当者への処方箋

>>第3回 本当に満足できる配車システムを見つける方法

日商エレクトロニクス
所在地:東京都千代田区二番町3-5麹町三葉ビル
電話:03-6272-3073
メール:assetmonitoring-sale@nissho-ele.co.jp
■AI最適配車サービスPowered by Kii
https://www.nissho-ele.co.jp/solutions_products/data_driven/aihaisya/
■配送業務診断サービス
https://www.logi-today.com/wp-content/uploads/2023

「課題はどこに?」、悩む物流担当者への処方箋

本当に満足できる配車システムを見つける方法