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本当に満足できる配車システムを見つける方法

2023年5月23日 (火)

話題配車システムに対する興味関心が、昨今急激に高まっている。「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスを考えたとき、より効率的なトラック輸送を実現するためには、より優れた配車計画の実現が必須だからだ。

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だが一方で、導入した配車システムに対して不満を抱えるユーザーも少なくない。これまた理由は明確で、「望むような結果と成果が得られていないから」だ。その背景には、現場業務の業務分析をきちんと行わなかった結果、改善すべき課題が社内共有できず、「望むような結果と成果」の定義がきちんと議論されていないケースもある。

筆者は、もともと配車システムの営業兼コンサルタントだった。その私から見て、日商エレクトロニクス(東京都千代田区、日商エレ)が提供する「AI最適配車サービス」は、配車システムに対するユーザーの不満を払拭し、配車システムの経営改善効果をさらに推し進めるブレイクスルーとなる可能性を秘めている。(物流ジャーナリスト・坂田良平)

配車システムに求められるもの

配車の基本は、「積付け」「ルート」「労務管理」の3つの要素で構成される。世の配車担当者は、この3要素を基本として、配車計画を立案してきた。ただし、この3要素それぞれの重要度は、貨物や荷主、運送会社などによってそれぞれ異なる。

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例えば、コンビニエンスストアやスーパーなどへの配送のような24時間365日のルート配送の場合、「積付け」や「ルート」の重要度は低く、逆に改善基準告示を筆頭としたコンプライアンスに遵守したトラックドライバーの勤務計画を立案する「労務管理」の重要度が高い。建材などの荷姿が悪い、いわゆる「ガチャもの」配送の場合は「積付け」が重要となり、日々運ぶ貨物が違ったり、混載を主軸とする配送では「ルート」が重要となる。

運送会社や荷主、貨物の種類、あるいは配送地域の特性などによって、重要視するファクターは異なり、上述の3要素のほかに、もっと重要な要素が求められるケースもある。

配車システムはこれまで、「配車担当者の思考プロセス」をシステムで再現する方向に進化発展を遂げてきたのだが、その多くが、あくまで最大公約数を目指し、「なるべく多くの配車計画立案に役立つもの」を目指していたため、個々のニーズに応えきれず、ユーザーの不満につながっていた。

そのため、近年では、よりターゲットを絞った(最大公約数の幅が狭い)配車システムが注目され、人気を集めている。例えば、ラストワンマイル配送に特化した配車システムや、過去の運行実績をビッグデータ解析し配車担当者の配車傾向を再現することに長けた配車システムもある。あるいはサプライチェーン全体の最適化にフォーカスした配車システムも登場してきている。

同時に、運送事業者よりも、荷主にとってより有用な配車システムも注目されている。「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスにおいて、「運べない」「運んでもらえない」という販売機会損失に直面するのが、荷主だからだ。

そこで、昨今のサプライチェーンマネジメントでは、需要予測が注目されている。荷主、すなわちメーカーや小売、卸などにおいて、販売機会の損失を避け、かつ適正な在庫、適正なデリバリーを行うためには、過去の販売実績や、マーケット状況、天候などを統合的に勘案する需要予測が必要だからだ。

そしてここに、これまでにない需要予測という武器を手に入れた、新たな発想の配車システム「AI最適配車サービス」が誕生した。

▲AI最適配車サービスの全体概要

需要予測と複数条件を組み合わせた演算能力の高さが魅力、「AI最適配車サービス」の特徴

日商エレが開発した配車システム「AI最適配車サービス」が、これまでの配車システムと一線を画す最大の特徴は、「需要予測に基づいた配車計画立案」と「複数の条件を考慮した最適解を導き出す演算能力の高さ」と理解した。

まず、「複数の条件を考慮した最適解を導き出す演算能力の高さ」について解説しよう。昨今の配車システムの多くは、配車の3要素のいずれかにフォーカスして配車計画の立案を行う。それがそれぞれの配車システムの個性にもなっているのだが、同時に得意・不得意な条件設定を生み、またユーザー満足度を損なう原因にもなっている。

対して、「AI最適配車サービス」は、複数条件を考慮した配車計画を立案できるうえ、ユーザーの事情に合わせて各条件のパラメーターの設定や、ロジックの変更ができる。他社の配車システムでは、基本設計に該当するロジックの変更は、カスタマイズ対応も含めて行うことができないのが一般的だ。

次に、「需要予測に基づいた配車計画立案」について解説しよう。そもそも、多くの配車システムは、「配送すべき貨物と配送先が決定していること」を前提としている。これは配車システムの多くが運送会社を顧客として想定していることに所以する。運送会社が荷主を差し置いて、貨物と配送先のコントロールを行うことは、これまでの物流ビジネスにおいては、これまではあまり考えられなかったからだ。

だが、実際には「配送すべき貨物と配送先から含めて再考すること」で、より最適な配車計画を実現できる」ケースは多々存在する。荷主はもちろんだが、本当の意味での3PLを担い、荷主におけるサプライチェーン全体の最適化を任されている物流企業の場合、「配送すべき貨物と配送先を再考すること」が求められるようになってきている。

こうした性質を備えた配車計画立案に必要な要素が、需要予測であり、この需要予測機能を備えた唯一の配車システムが、「AI最適配車サービス」なのだ。

▲複数ある条件をすべて考慮して、全体最適を実現した配車計画の立案が可能

「AI最適配車サービス」の活用シーン

では、「配送すべき貨物と配送先から含めて再考すること」が求められるのは、どんなケースだろうか。一例を挙げよう。

自動販売機の補充配送のケースでは、「いつ、どこの自動販売機に補充を行うか」という判断は、長年の慣習に従って行われているケースが少なくない。

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一番最初に、「月曜日は◯◯にある自動販売機を、火曜日は△△にある自動販売機を補充するべき」といった配車計画は、立案した時点では正しい判断だったのかもしれない。

だが、状況は変化するものだ。例えば、近くにコンビニエンスストアが開店すれば、その自動販売機の売上にも影響が及ぶだろう。こういった市況の変化に伴う見直しが行われず、悪く言えば、「これまでもこうだったから」という盲目的な理由で、過去に作成された不効率な配車計画がまかりとおっているケースがある。

「AI最適配車サービス」の需要予測機能は、個々の自動販売機における過去の販売実績のみならず、天気予報などの複数条件を組み合わせて自動販売機それぞれに最適な補充タイミングを算出する。より効率の良い補充を可能としたうえで、ドライバーらの勤務時間を最適化し、不要な残業を回避することが可能なのだ。

KPIの分析・設定を支援し、システム導入の成功に導く

日商エレでは、「AI最適配車サービス」導入と合わせて、導入企業におけるKPI(成果指標)の分析と設定を支援している。分析については、連載2話で解説した「配送業務診断サービス」を参考にして欲しい。

本当に最適なKPIとは何かを、日商エレは導くことができるのだ。導入事例とともに解説しよう。

「AI最適配車サービス」を導入したLPガス配送を担う会社(以下、A社とする)では、あらかじめドライバーごとに担当エリア分けが行われており、どのタイミングで配送(LPガスボンベの交換)を行うかは、ドライバーの裁量に任されていた。

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「AI最適配車サービス」導入前、A社におけるドライバーのKPIは、LPガスボンベの配送数(交換数)だった。このKPIは分かりやすい。だがいくつか問題があった。

まず、ドライバーが、配送本数の多少に執着してしまうこと。そして、十分にガスが使い切られる前に、ボンベ交換を行ってしまうケースが多発していたことだ。

「これだけまだガスが残っているのであれば、ボンベ交換を1週間遅らせても良かったのに」、このように会社側が考えても、KPIがボンベの配送数である以上、ドライバーは「1本でも多くのボンベを交換したい」という気持ちから、まだ残量に余裕がある状態でも交換してしまう。

しかし、これは明らかな無駄。業務分析を行った結果、例えば、今までは年間50回の交換(配送)を行っていた顧客でも、より適切なタイミングでボンベ交換を行う事により、交換頻度を3割削減することができるケースが判明したからだ。

ただし、生活インフラであるLPガスを提供するA社では、「ガス切れを起こしてしまった」ということは許されない。そのため、より効率的なボンベ交換を行うためには、適切な需要予測と、それに基づいた配車計画が必要となる。

そこでA社では、日商エレの提案をもとに新たなKPIを設定し、持ち帰ったボンベのガス残量を重視することにした。また、新たなKPI設定に伴い、ドライバーの給与体系(評価体系)の変更も行った。

▲日商エレDX事業本部イノベーション推進部の大西俊輔チームリーダー

日商エレDX事業本部イノベーション推進部の大西俊輔チームリーダーは、「現場で定めたKPIは、経営者が本当に求めるべきものとは異なっているケースがあります。当社は、業務分析などによって、こういった経営と現場の乖離を見つけ出し、経営レベルと現場レベルのKPIを揃える提案力を備えています」と説明する。

冒頭、「導入した配車システムに対して不満を抱えるユーザーも少なくない」と指摘し、その理由として、「望むような結果と成果が得られていないから」だと説明した。配車システムに限った話ではないのだが、ユーザーの中には、「ソリューションを導入しさえすれば、成果が出るはず」と勘違いしているケースも少なくない。

ソリューションは、適切な運用と評価体系が整って初めて真価を発揮する。

このことを分かっている日商エレだからこそ、KPIの分析・設定の支援まで踏み込んで、顧客に寄り添うのだろう。

「AI最適配車サービス」の可能性

「AI最適配車サービス」は、連載1話目で説明したとおり、飲料販売、灯油販売、LPガス販売などで利用されている。筆者は、今後多くのシチュエーションで「AI最適配車サービス」が生きてくると考えている。

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例えば、返品や回収などを担うリバース・ロジスティクス。リバース・ロジスティクスでは、「毎週水曜日」「毎月第一月曜日」といった具合に、定期的に実施されるケースも多い。しかし現場では、輸送量が少ない「空振り」や、保管量が多すぎて、保管スペースがあふれかえるようなことがあり、悩まされているという話も耳にする。

過去の実績データから、回収先における返品物、回収物などの保管具合を予測し、適切なタイミングでトラックを向かわせることができれば、より効率の良いリバース・ロジスティクスを実現しつつ、顧客満足度の向上も実現できるだろう。

同様のことは、コピー機の用紙補充やトナー交換、あるいはウォーターサーバの補充などのメンテナンス系物流業務でも考えられる。調達物流でも、生産の繁閑予測から適切な配車計画を立案できるだろう。

さらに筆者が期待するのは、共同配送における「AI最適配車サービス」の活用だ。「物流の2024年問題」対策として注目される共同配送だが、最近でも競合するはずのメーカー・卸・小売などの共同配送が話題になっている。

しかし、報道される内容は、貨物同士の積み合わせ内容(例えば、重たいものと軽いものを組み合わせるなど)が中心だ。実際には、年間を通した貨物量の波動を考慮したマッチングや、最適な輸送計画、協力会社へのトラックの手配等が統合的に作用しないと、本当に効率の良い共同配送は実現しない。

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共同配送の動向を長年追っていると、「B社はC社と共同配送を行っていたはずなのに、今回はD社との取り組みが発表されたぞ」といったケースを見受けるし、また実際に波動が合わなかったといった理由で共同配送を解消したケースも耳にする。

本稿で挙げた事例や可能性は、ごく一部である。

「多くの配車システムは、『配送すべき貨物と配送先が決定していること』を前提としている」と書いたが、実際のトラック輸送では、「配送すべき貨物と配送先が決定していない(※少なくとも「変動する余地がある」)ケースなど、ごまんとある。そういった貨物を扱う荷主や運送事業者に最適な配車システムは、今までなかった。「AI最適配車サービス」の可能性は、まだまだ無限にあるだろう。

物流の最適化を、より高い次元へと高めるために

かつて筆者は、あるメーカーの物流担当部長からこんな言葉を聞いたことがある。

「3PL事業者の提案してくる改善提案って、あくまで自分たちの得意分野である物流分野だけの最適化に感じる。私が会社から求められているのは、製造部門や販売部門とも連携し、サプライチェーン全体の最適化を図ることなんだけど…」

「配送の最適化」は部分最適でしかなく、本来求めるべきは、「サプライチェーン全体の最適化」なのだ。日商エレの「AI最適配車サービス」は、「配車の最適化」を「サプライチェーンの最適化」へと近づけるために、需要予測と、複数条件からの最適解演算能力を身に付けた。考えてみれば、「AI最適配車サービス」は、時代の要求が生み出した配車システムとも思える。

「配車システムを導入したが、いまいち満足できていない」、あるいは「配車システムの導入を検討したが、ピンとくるものがなく、導入を見送っていた」荷主や運送従事者がいたら、まず連載2話で紹介した「配送業務診断サービス」を行った上で、日商エレの提案を受けてみてほしい。

「AI最適配車サービス」導入に至るかどうかは業務内容との相性もあるが、きっとあなたの悩みや課題解決に至る、ヒントを得られるはずだ。

<<第2回 「課題はどこに?」、悩む物流担当者への処方箋

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