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ヤマトなど4社、FC大型トラックの走行実証開始

2023年5月17日 (水)

調査・データヤマト運輸は17日、西濃運輸、アサヒグループジャパン、NEXT Logistics Japan(NLJ、東京都新宿区)と、水素を燃料としたFC(燃料電池)大型トラックの走行実証を5月から順次開始すると発表した。FC大型トラックの走行は、日本で初という。

▲走行実証に使用する各社の車両(出所:ヤマト運輸)

実証にはトヨタ自動車と日野自動車が共同で開発したFC大型トラックを使用する。トラックは水素を燃料とし、航続可能距離は約600キロ。大型トラックに最適化したFCスタック(水素と酸素の化学反応で発電する装置)を2基搭載。新開発した大量の水素を貯蔵可能な大型高圧水素タンクも6本を備える。トラックは貯蔵した水素と大気中の酸素をFCスタックに取り込むことで発電し、その電気でモーターを駆動させて稼働する。

具体的な検証は、ヤマト、西濃運輸、アサヒグループ、NLJが個別に取り組む。ヤマトは、羽田クロノゲートベース(東京都大田区)で行う。羽田クロノゲートベースで、FC大型トラックに荷物を積み込み、群馬ベース(群馬県前橋市)で荷下ろし後、群馬ベースで荷物を積み込み、羽田クロノゲートベースに戻るルートで実施。燃料は、羽田クロノゲートベース近隣の水素ステーションで充填する。5月17日から開始する。

西濃運輸は、東京支店(東京都江東区)で6月から始める。FC大型トラックは東京支店で荷物を積み込み、小田原支店(神奈川県小田原市)、相模原支店(神奈川県相模原市)で、それぞれの支店分の荷物を下ろし、東京支店へ戻る。燃料は、東京支店近隣の水素ステーションで充填する。

アサヒグループとNLJでは、アサヒビール茨城工場(茨城県守谷市)でのビールや清涼飲料を積み込みで5月19日から開始する。FC大型トラックが、アサヒビール平和島配送センター(東京都大田区)で洋酒やワインなどを積み込み、NLJ相模原センター(神奈川県相模原市)で荷物を下ろした後、関西からの荷物を積み込み、アサヒビール茨城工場に戻る形で実施する。

4社は実証を通じて、運用面でFC大型トラックが実稼働時のドライバーの使い勝手、水素ステーションでの充填時間を含む運行管理を確かめる。また、車両開発に向け、燃料電池システムと電動システム全般の作動検証、環境や走り方の違いによる水素消費変化の把握、水素ステーションでの給水素情報の取得、車両の運転操作性や使い勝手全般に関する情報の取得に取り組む。

▲車両に搭載されている燃料電池システムと高圧水素タンク(出所:ヤマト運輸)

4社によると、温室効果ガス排出量削減などの持続可能な物流の必要性が高まる一方、国内商用車全体の温室効果ガス排出量は、全体の約7割を大型トラックが占めるとしている。

そのうえで、特に幹線輸送で使われる大型トラックについては、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求められるため、CO2削減でエネルギー密度の高い水素が燃料の燃料電池システムが有効という。

そこで、4社ではFC大型トラックを各社の実際の輸送業務に使用することで、水素燃料活用の可能性と実用性の検証を行うことにした。

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