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東京流通センター「物流ビルA棟」竣工

物流改革を宿命とする、都市型物流施設の圧倒的実力

2023年9月7日 (木)

話題「東京を拠点とした物流構築において、圧倒的な優位性のある立地であることについては多くの業界関係者に納得いただけるかと思います」。こう話すのは、東京流通センター(TRC)で営業部長を務める植村宗広氏だ。

▲東京流通センター営業部長の植村宗広氏

絶えず変化を続ける物流現場は今、「2024年問題」に直面している。そんな物流現場の変遷を、長年施設運営の立場で支え、変革でも主導を続けてきたTRC。高度経済成長期の日本経済と物流を支えるために、東京・平和島の地に会社が設立されたのが1967年。71年に「物流ビル旧A棟」を竣工させてから50年以上にわたる物流施設運営で培ってきた独自のノウハウを、2021年からのA棟再開発に注ぎ込み、この夏、ついに「物流ビルA棟」竣工として結実した。生まれ変わった最新施設と、物流危機に挑む同社のコンセプトを植村氏に聞いた。

都心立地だから実現できる「倉庫+α」のアイデア

「A棟の建替に際しては、旧A棟で対応できなかった物流ニーズや、社会情勢の変化で生まれた新しいニーズにも対応できるように、私たちの50年以上にわたる施設運営のノウハウを注ぎ込んでいます。都心の施設として、『倉庫+α』としてのアイデアを生かせる拠点となるはずです」(植村氏)

▲8月31日に竣工した「物流ビルA棟」の外観

A棟は、延床面積20万2000平方メートルの7階建て。都心近接地域では希少な新築の巨大マルチテナント型物流施設で、大きなフロアを使ってのオペレーションはもちろん、小区画からの利用など、さまざまな需要に応じた柔軟な使い方が設定できる。1階は冷凍冷蔵倉庫の設置を想定したプラットフォーム0.8メートル、梁下有効高5.7メートルの設計。2、3階は435坪が標準となる小規模区画フロアとなっており、最小144坪から利用可能な区画も用意、4〜6階は1600坪から最大7800坪までの中・大規模区画での運用など、フロアごとに異なるスペックで多様な物流ニーズに柔軟に応える。

▲A棟2階の平面図(クリックで拡大)

A棟の新たなカスタマーとして想定しているのは、都心を中心とした超大量消費を支える物流、卸事業者や、開発・研究拠点として倉庫スペースを有効活用できるTECH(テック)企業。また、巨大消費圏において需要が高まるレンタル・リース事業や精密機器のパーツセンターなどにおけるメンテナンス作業拠点としての活用である。

▲専有部は実証実験スペースとしても利用可能

都心近接施設として、物流・卸事業者にとっては、巨大な需要に対して機動力を生かしたサービスを提供する機能はもちろん、大きなフロアを使って自動化機器を取り入れたオペレーションの構築などでは、大容量電源の使用も可能な設計となっている。テック企業にとっては、保管スペースとしてだけではなく、実証実験スペース、製品のショールームとして活用し、研究・開発段階からビジネス化までの工程を効率化できる。

また、全フロアに給排水設備を設置したことも改善点の一つであり、メディカル機器やパソコン、精密パーツなどの洗浄・検品作業が、その他の倉庫業務や事務作業と併用できることへの需要も期待できる。

東京拠点の物流ニーズに応える別格のスペック

▲15キロ圏内に主要な巨大消費地を収める(クリックで拡大)

TRCは、首都高速羽田線の平和島インターチェンジ(IC)から1キロ、首都高速湾岸線の大井南ICから3キロで、首都高速と環状七号線の交差点ともいえる東京・平和島に立地する。半径10キロ圏内に羽田空港のほか、品川駅などのビジネス拠点を収め、15キロ圏内まで広げると東京駅、新宿駅、渋谷駅から川崎駅、新横浜駅に至るまで主要な巨大消費地にアクセスできる。

植村氏が「多頻度で、機能性を必要とする首都圏の拠点となることはもちろん、空路との結節点としても活用いただけます」と言う通り、「都市型物流施設」としての立地優位性は圧倒的。「眠らない街」の需要に24時間応えることができる。

就労の面においては、最寄りの東京モノレール「流通センター駅」が施設敷地の目の前。施設名がそのまま駅名として定着していることを鑑みても、別格と言える存在感を誇る。さらに、JR「大森駅」、京浜急行「平和島駅」からバスでアクセスする経路があり、自転車・バイク用の大規模駐輪場を備えるなど、人材確保の面でも優位性が高い。

全15万3700平方メートルの敷地全体が、このA棟のほか、B、C、D棟という計4棟の物流施設、オフィス機能を持つセンタービル、アネックス、さらに展示場、巨大立体駐車場などで構成された1つの「街」であり、コンビニ、レストラン、郵便局から、歯科、クリニックまでエリア内に収める。「おかげさまで、BからDの3棟は満床稼働、オフィスもほぼ満床という状況で、新たにA棟をご案内できることを喜んでおります」(植村氏)。

▲センタービル

物流改善対応から生まれたTRCが担う、改革の使命

物流に関わる企業にとって、2024年問題への対応は避けて通れない課題である。TRCも物流施設でのノウハウを積み重ね、施設利用による戦略的な物流網、効率的なサプライチェーンの構築を提言し続けてきた。今そこにある物流課題に応えうる多品種小ロットでの素早い配送を実現するスペックを備え、迫りくる物流課題には「倉庫+α」として、ソリューション開発の適地を提供して、新技術による課題解決を促すなど、A棟でも随所にそのコンセプトは生かされている。

こうした同社のコンセプトは、そもそもその設立時点において、「時代の物流危機」における解決策としての使命を持って誕生したことも関係しているのだろう。

▲開業当時の旧A棟

TRCが設立されたのは、1960年代の高度経済成長期。首都圏への人口集中、自動車の脅威的な増加による交通渋滞が原因となり、卸売事業など流通業務に大きな障害となったことへの解決策としてであった。行政の国家的施策として流通機構の整備が進められ、「流通業務市街地の整備に関する法律」に沿って平和島が「南部流通業務団地」に指定されたことが契機となった。同地を基盤として巨大消費に対応できる物流基地が求められる社会情勢の中で、TRCが設立に至ったというわけだ。

「今また新しい物流危機を迎え、当然、A棟活用による物流課題への取り組みは、私たちの使命だと考えています」(植村氏)。

▲企業と物流テックの出会いの場を提供する「TRC LODGE」

同社ではかねてより、物流課題の解決に資する新技術・ソリューションなど物流テックを集積したショールーム「TRC LODGE」(TRCロッジ)を開設し、物流における新しいサービスの展示、企業とのマッチングの場を提供してきた。新A棟では小区画の貸室を用意しており、ソリューション開発の場として、すでに複数の新鋭テック企業の入居が決定。ロボット技術の検証などが行われるという。

植村氏は、「この施設で成長するテック企業と、その他の入居企業、あるいはテック企業同士の協働や共創など、ビジネスシーンと直結した都市型物流施設だからこそ広がる、新しい価値創造も期待しています」と語る。

また、物流・流通機能が集積する南部流通業務団地の地の利を生かした輸配送網の構築や、広域配送・都市配送のハブ拠点としての活用、ラストワンマイル拠点としての活用など、数多くの戦略的拠点活用の事例を間近で見てきた施設運営者として、入居企業の求めに応じた効率化、最適化の提案を行うこともある。かつて、高度経済成長期の物流危機を支え、その後の物流業界の変化を50年以上にわたって自ら体験し続けてきた「経験者」としての立場で、現在の物流改革を支援できる施設運営者はほかにいないのではないか。

施設、PMスタッフなど、総合力で物流最適化を支援

TRCは、施設の開発だけではなく、その運営管理・プロパティマネジメント(PM)の領域でも実績を積み上げてきた。「同じ構内にTRC本社がある為、TRC社員・グループ社員・更には協力会社も含めると100人ほどのスタッフが、入居者のすぐ近くにいて、緊急時の対応や日常的なニーズの吸い上げができることは、ほかのデベロッパーにはない強みです。今では、平和島を飛び出して、全国36施設でPM業務を担っており、そこで得た新しい知見が、A棟を含めた構内の運営にも生かされています」(植村氏)。

ただ、その圧倒的な立地のスペックにあぐらをかくのではなく、PMを支えるスタッフそれぞれが、テナント目線での改善を常に意識して作り上げる物流とその経験値。植村氏は同社の一番の強みは、それらの「総合力」だと言う。「企業成長戦略としてのロジスティクスにおいて、サプライチェーンにこの施設をどう組み込むか。物流最適化に積極的なカスタマー、都内で倉庫+αの施設活用アイデアを持つ皆様には、ぜひ私たちの施設、ノウハウ、スタッフなどの総合力を活用していただきたい」(植村氏)と語る。

同社は、9月13日から3日間、東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2023 INNOVATION EXPO」に出展し、A棟を模型や動画などを使って紹介する予定であり、都心近接地からの効率的な物流構築を検討する事業者は、ぜひ同社ブースを訪ねてみてもらいたい。

東京流通センターの出展概要
会期:2023年9月13日(水)~15日(金)10時~17時
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)西1-4ホール
ブース:ロジスティクス最適化ゾーン ブース番号「3C-04」
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)