調査・データ国土交通省はこのほど、コンテナターミナルでのコンテナのダメージチェックを高度化するための実証実験の成果を取りまとめた。通常ではコンテナ一つ一つを目視する形で行われているダメージチェックの労働環境の改善を目的とする取り組み。
実証では、コンテナの状態をカメラやセンサーなどの機器から遠隔でデータ取得するダメージチェックシステムの試作モデルの開発や、コンテナターミナルでの実証実験、AI(人工知能)の活用によるダメージ判定、ダメージ情報の記録・デジタル化の検証を行った。ダメージチェックシステムはゲート型で、通過と同時にセンサーなどでダメージをチェックし、ダメージ無しならゲート通過、ダメージ有りと判別した場合のみ目視による確認を行うといった形での活用を想定している。
ダメージ判定の実証では、コンテナのダメージを目視で判別した場合と比べ、試作モデルから取得した2D画像を遠隔で判別した場合は、目視で確認できたうちの26%は確認できず、主に膨らみや凹みなど奥行き方向のダメージを判別しづらい結果が出た。レーザースキャナーによる3D点群データからは膨らみや凹みが判別できるようになったが、逆に2D画像で判別できた腐食や傷などの判別には向かないことから、2D画像と3Dデータの併用が理想的であるとしている。
腐食によるダメージの判別には、腐食ダメージの検出や腐食箇所の判定を行うAIモデルを構築し、腐食ダメージが見られる2D画像データを使用してAIの機械学習を実施して検出精度を高めた。その結果、実証で腐食ダメージが見られたコンテナの検出率が100%のとき、腐食ダメージ箇所の判定の正解率は80%にまで向上したが、判定精度は完全ではないため作業員によるチェックが必要となることや、AIによるダメージ判定には処理時間を要するといった課題が浮き彫りになった。
ダメージチェックのシステム化は、ダメージチェックの情報伝達フローのデジタル化につながる。現状はダメージが見られた場合、作業員がEIR(機器受け渡し証)という紙にそれを記録し、ドライバーに手渡しで情報を伝えるといったアナログな形式だが、システム化が進行すれば、機器から取得した電子データを基にEIRを作成し、ドライバーへデータを送信できるようになる。
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