拠点・施設カネカは25日、100%出資子会社のカネカマレーシア社が生産するモディファイヤー(商品名「カネエース」)の生産能力を、年産約2万トンから約3万トンに増強し、アジアでの旺盛な需要拡大に対応すると発表した。2012年春の稼働を目指し、約15億円を投じる。これにより、日本・米国・欧州の拠点を合わせた4拠点全体での生産能力合計は、年産20万トン強となる。
アジア地域では中国・東南アジア市場に加え、インド、中東市場でも包装・建築材用途や産業資材用途などに塩ビの需要が拡大しており、それに合わせてモディファイヤーの需要も増大している。特にASEANが中国やインドなどと自由貿易協定(FTA)を締結したことにより、マレーシアからの輸出拡大は同社にとって大きなメリットになる。
塩ビ分野だけでなく、現地の自動車や家電メーカー向けのエンプラ分野にも積極的に事業展開することにより、中東を含めたアジア市場全体での確固たる事業基盤を構築する。同社は機能性樹脂部門を重点戦略分野と位置づけており、モディファイヤー事業の強化とともに、これまで日米欧が市場の中心であった変成シリコーンポリマーのアジアでの本格的事業展開も進める。既にマレーシア、中国、インドなどの現地法人の要員も増やし、体制の強化を進めている。
モディファイヤーは、塩化ビニール樹脂など樹脂の機能を強化・向上させる樹脂改質剤で、代表的なものに、塩ビの透明性を損なわず、耐衝撃性をアップした塩ビ強化用樹脂「MBS樹脂」がある。