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数学的アプローチで物流課題を解決する構造計画研究所

科学力と現場主義の融合で初めて見える物流最適解

2023年12月15日 (金)

話題「現場が100あれば100の課題があります。最大公約数的なシステムではサプライチェーン(SC)全域における効率化は図れません」と、構造計画研究所オペレーションズ・リサーチ部部長でロジスティクス戦略室の室長でもある指尾健太郎氏は語る。

例えば、物流改革で注目が集まる中継輸送や、モーダルシフト。中継拠点や船への積み込みを経由する時点で、運送の最適化に向けて検討すべき選択肢は爆発的に増加する。中継地の選択、荷物を引き継ぐ作業フローなど、組み合わせ次第で効率的な運用にも、そうでない運用にもなり得る。

▲社会デザイン・マーケティング部の宇野もも子氏

構造計画研究所は、「エンジニアリング・コンサルティング」を掲げ、その中核の1つであるオペレーションズ・リサーチ(OR)技術で物流課題にアプローチする。ぼう大な数の候補から最適な組み合わせを数学的アプローチによって導き出すOR技術を、物流現場の変革に活用し、物流危機に対応している。

同社は70年代からORの研究室を設けて専任技術者チームを組織し、業務改善支援に取り組んできた。社会デザイン・マーケティング部ソーシャル・ロジスティクス戦略室の宇野もも子氏は、「学会との連携などを通じて、常に研究、開発力を磨いており、OR分野でのノウハウは他の追随を許さない会社だと自負しています」と語る。

オペレーションズ・リサーチが導く、物流最適解への数学的アプローチ

▲構造計画研究所オペレーションズ・リサーチ部の指尾健太郎部長

「トラックへの積み付けで考えてみましょう。100個の荷物をどの順番でどう配置すれば、よりたくさんの荷物を迅速に積めるのか? そこに荷崩れや上積みの制限、荷下ろしの効率などの要素も加え、さらにSC全体の効率化として、積み付け荷物の事前準備や、作業場のレイアウトから再構築も合わせて最適化を考えるのは、もはや人の経験や勘だけでは不可能、数学的アプローチは不可欠です」(指尾氏)

配送ルートの計画においても同様だ。基本的な配送ルートの選定以外にも、上記のような中継輸送での運用、運転手の労働時間の制約など労務管理との組み合わせや、帰り便への積み込み、共同配送の積み合わせなど、効率化において検証すべき要素が追加されるごとに、最適解を導き出す作業は複雑になる。

物流の流れ全体の中では、空間、人など限られたリソースとルートの組み合わせだけでも数限りない選択肢が考えられ、さらに特殊な形状の荷物の取り扱いなどでは、汎用化されたシステムやSaaSの機能だけではとても対応できない。

「私たちが提案するのは、パッケージソフトありきではない、トータルの課題解決。OR技術を生かしたエンジンを核にして、ユーザーそれぞれの課題に応じたソリューションをいっしょに作り上げていく。そのすべての過程を支援させて頂きます。時には顧客が認識している課題を1から見直し、本当に必要な解決策を作り上げることもお手伝い致します。」(指尾氏)

同社も、積み付け計画システム「PackingSim」(パッキングシム)や、配車計画システム「ALPS Route」(アルプスルート)など各工程ごとの優れた実績を誇る効率化ソリューションを提供しているが、さらに広い領域、SC全体につながる一歩先を見据えた提案で、最適化へ向けた改革を推進できることが、他のシステムベンダーとは一線を画すところだ。「目先の改善だけでなく、全体的な改善など解決が難しい問題や、今のシステムでは課題を解決できない、そんな悩みを持つ方にこそ、ぜひ相談していただきたい」(指尾氏)

▲サプライチェーンにおける取り組み

荷主・物流事業者・技術開発者・消費者が一丸となった変革の必要性

もちろん、物流危機の抜本的な解決は、ソリューションの開発だけでは解決しない。SC全領域の改革ともなると、物流事業者、荷主企業の取り組みこそが重要な要素であり、さらには消費者の意識も変えていく必要がある。

24年問題を契機に、同社への物流課題解決の相談件数も増えており、「荷主として、積極的に物流改革に関与するために私たちに相談いただく、そんな意識の高い企業も増えている」(指尾氏)と、明るい兆しも見られる。

例えば、荷主の協力によってリードタイムを1日延長できれば、それに応じた積み付けやシフト、配送ルートの最適解も変化する。

また、消費者サイドが、ピンポイントの時間指定ではなく、いくつかの候補から希望時間を選択するような配送の自由度が許されれば、それに応じた最適な配送ルート、シフトの枠も広がる。

荷主や消費者の理解が得られれば、OR技術の機能を最大化して、より有効な最適解を導き出せるのだ。事業者は、これまでの商流、既存のやり方を疑ってかかること、消費者は、今の便利さを当たり前と思わないことから、まずは意識を変えていかなくてはならないのかも知れない。

「現場主義の専門家集団」だからこそ実現できる改革提案

同社が最終目標とするのは、各工程ごとの細切れの効率化ではなく、前後領域まで含めた一気通貫での最適化であり、物流分野だけではなく、製造、建築、通信、災害対策など各分野における専門家集団でもあることから、より広い知見での改革にも取り組むことができる。専門家というと白衣の学者像が思い受かベられ、事実、指尾氏もOR分野をリードする工学博士でもあるのだが、そのポリシーはあくまでも現場主義。現場に足を運び、課題を共有しながら、自らも開発に携わる。現場担当者レベルとの強い信頼関係から、より良い解決策を提示する、「白衣よりヘルメットと作業着が似合う専門家」だと言えるかも知れない。

物流の最適化を追求すればするほど、正解への道筋が見えなくなってしまう。それは、真剣に物流を改革しようとする意識の高い企業ならではの悩みとなっているはずだ。構造計画研究所の導く最適解は、そんな企業にこそ説得力のある提案となるのではないだろうか。

▲左から指尾氏、社会デザイン・マーケティング部ソーシャル・ロジスティクス戦略室室長の橋本雄士氏、宇野氏

構造計画研究所お問い合せフォーム 積み付け計画システム「PackingSim」サービスページ 配送・配車計画システム「ALPS Route」サービスページ

構造計画研究所、科学的アプローチで挑む物流課題